今回は結婚式や葬儀などの冠婚葬祭に関係者をサクラとして出席し、仲介業者から報酬を得る「冠婚葬祭の代理出席」の副業を紹介する。
かつては主に駆け出しの役者に斡旋されていた「代理出席」のアルバイトが、インターネットの普及で一般化。現在は専用サイトに登録することで誰でも応募することができ、人気の副業となった。ネットでは、「座っているだけで1回数万円もらえる」「結婚式のコース料理にありつける」といった魅惑的な評判が散見されるが、実際はどうなのか。
「スピーチのセリフを覚えたり、他の出席者に話しかけられた時の“設定”を考えるのは少し面倒ですが、ワリのいい仕事であることは間違いないですね」
と言うのは10年来、副業として代理出席の業務に携わっている40代の会社員だ。続けてその魅力を語るには、
「披露宴、葬儀の出席1回につき、だいたい1万円もらえます。結婚式が行われるのは基本的に週末。会社勤めの身で取り組む副業としてもってこいなんです」
では、応募にはどのような手続きが必要なのか。
業界大手のAAS社の場合、サイトのスタッフ募集の項目から登録できる。住所、氏名、年齢、性別、メールアドレスなどを入力したあと、過去の「代理出席経験」の有無と現在の職種を入力。さらに「代理出席の際に可能な点」として「スピーチ可能」「二次会の幹事可能」「余興でのダンス可能」「遠方の代理出席可能」といった項目にチェックを入れ、「話せる言葉」として「標準語」「東北弁」「関西弁」「英語」などから選択。加えてプロフィール写真をメールで送信することで登録は完了となる。
登録データが顧客の希望とマッチした場合、面接と研修、打ち合わせを経て当日の式に臨む流れとなっている。
「代理出席」の報酬について、前出の会社員は、「年をとっているほどギャラが高くなる仕組みなんですよ」と明かしたうえで、こう解説する。
「特に葬儀の場合は『高齢者のサクラ』に圧倒的なニーズがあるんです。私もこのバイトを始めた頃は『出席1回5000円』が基本だったのですが、10年でギャラが倍額にアップしました。知り合いに代理出席のバイトをやっている70代の男性がいるんですが『葬儀のギャラが3万円で月収20万円を超えた』と言っていました」
コンスタントに儲けるコツはどこにあるのだろうか——。
「やはりスピーチがうまいと結婚式のオファーが増えますね。葬儀の場合、前日にオファーが来るケースが多いのですが、直前でも対応可能な人に仕事が集中します。私もいつでも対応できるよう、クリーニングした礼服とモーニングを常備しています」
高齢になるほどオイシイ副業なのであった。
(もとおり・ひろゆき)