厚労相お墨付きでも試飲厳禁!? 高濃度アルコール飲料に潜む「リスク」

 新型コロナウイルス感染拡大により消毒用アルコールが不足していることを受け、厚生労働省はアルコール濃度が高い酒を消毒液の代わりとして使用することを特例として認めた。そうした中、各メーカーが高濃度アルコール製品の製造・販売に乗り出した。

「厚労省によれば、消毒として使えるのは有害なメタノールを含まないエタノール濃度が70〜83%の酒が対象になるとのこと。ただし高濃度のアルコールは揮発性が高く、すぐに蒸発してしまうため、精製水などで薄めて使用することとしています。ただし、これらを一般家庭で使用するのは“やむを得ない場合”に限るとし、これまで通り石鹸で手洗いすることを推奨しています」(社会部記者)

 高濃度アルコールの酒を家庭で消毒用として使用しないよう注意を呼びかける声もある。都内の酒店では、アルコール濃度90度以上の「スピリタス」という酒を買い求める客が殺到している現状もあって、日本薬剤師会の村松章伊常務理事はNHKの取材に対し、「希釈しても酒は医薬品のように濃度が厳しく管理されていないので調整は難しく、引火性も強いので危険もあります」と説明している。

「また、イランではアルコールを飲めば新型コロナが治癒するというデマが広がり、密造酒を飲んだ27人がメタノール中毒で死亡する事件が発生。日本でも高濃度アルコールの酒を飲めば体内を消毒できるというデマが広がった経緯もあります。こうしたリスクを知らずに、今回、特例が許された高濃度アルコール飲料について、安直な解釈をしている人も多く見受けられるので注意が必要です」(前出・社会部記者)

 消毒液不足に悩む医療機関が入荷を待ちわびている高濃度アルコール飲料。たとえ手に入れたからといって試飲を…などと思わないことだ。

(小林洋三)

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