ついにつかんだ核心証言!東京で「コロナ爆増」を招いた「感染隠蔽工作」

 振り返れば「東京五輪」1年延期を発表したのは3月24日。その翌日には小池百合子都知事が緊急記者会見を開き、突如「感染者の爆発的な増加(オーバーシュート)の重大局面にある」とコメントした。しかしこの背景には、政府への「忖度」があったというのだ。

 そこから新型コロナウイルス感染者が急増し、1日40人台に突入。その後も患者数は爆増を続け、4月8日には144人、4月9日には181人と過去最多を更新。東京はあっという間に厳戒状態になった。

「今まで隠してたんじゃないか」

 この急変を前に、いぶかる声が巷で上がった。

 昨年12月の新型ウイルスの流行以来、「新型コロナウイルスの感染者が日本は少なすぎる」と疑問視する者が少なくなかった。発生源の中国、中国に隣接する韓国はもとより、ヨーロッパやアメリカよりもはるかに少なかったのはいったいなぜなのか。

 事実、「実数は違う」との報道もなされていた。

 米国の主要メディア・CNNは3月6日に、こう報じている。

〈新型コロナウイルスの感染拡大が続く日本で、政府の対策や検査のやり方に疑問を投げかける専門家が相次ぎ、実際の症例数は発表よりずっと多いのではないかとの不安が広がっている。隣国の韓国では、政府が検査態勢を強化して数万人の検査を行った結果、これまでに確認された症例は6000例を超えた。一方、日本政府は1日に3800件の検査が可能になったとしているが、厚生労働省によれば、4日までに実施された検査は8111件にとどまる。(中略)この数字について医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、氷山の一角にすぎない疑いがあると述べ、実際の数字は報告された症例数を大幅に上回っている可能性が大きいと指摘した〉

 そんな中、耳を疑うような証言が舞い込んできた。3月25日の小池知事の緊急会見直前のことだ。政府関係者はこう語る。

「ある地方銀行の行員が感染したが、どういうわけか銀行も県も発表していない。感染者の立ち回り先や接触相手の調査も、行内の消毒もしていない。これについては、銀行内からさえ疑問の声が上がっている。調べてみると、行員の感染が特定された病院から報告を受けた先が『待った』をかけたらしい。もちろん、公式な数字として政府にも上げていない。政権がそれを望んでいなかったからだ」

 暗に厚生労働省側の安倍政権に対する「忖度」を指摘したのである。さらに取材を進めると、匿名を条件に、さる実業家はこんな証言を寄せた。

「東京都内で走っているタクシーが減っているでしょう。実は個人タクシーの感染者は(報道された)1人ではなく、また、大手の法人タクシーでは5人の感染者がいると聞きました。これらがまったく公表されていない。なぜなのでしょうか」

 この実業家の疑問を引き取るかのように、政府関係者がさらに突っ込んだコメントを口にした。

「新型コロナウイルスの流行でオリンピック開催の行方が危ぶまれる中、感染者数を抑えるのが安倍総理にとって至上命題だったため、厚生労働省が動いて公表を避け、感染者数の増大を抑える情報操作を行った。オリンピックが中止でなく1年延期に決まったことを機に、感染者の公表数は増えていくだろう」

 実際、この関係者の「見立て」は現実のものとなった。

 3月26日には、厚生労働省が「(新型コロナウイルスが)蔓延しているおそれが高い」とする報告書をまとめた。事実、その後、連日のように感染者が急増し、現在に至っているのだ。かねて安倍総理が国家の安全よりもオリンピックを優先しているとの批判はあり、先に紹介したCNNでも、そう指摘していた。

 また、日本の感染症対策の第一人者である神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授は「フォーブス・ジャパン」のインタビューでこう語っている。

〈オリンピックの開催が念頭にあったために、東京都はネガティブなメッセージは出せなかったのではないかというのが私の推測だ。無論、関係諸氏は否定するだろうが。オリンピックに対する忖度が危機対応を遅くして、失敗した〉

 政府関係者が補足する。

「もう隠す必要がなくなった以上、今後はもっと増えて欧米並みになるだろう」

 政府も自治体も、3月20日から22日にかけての3連休で多くの国民が外出したことが急増の原因だとするが、隠蔽していた患者が「可視化」されたにすぎない。東京都、政府、官僚の間で何らかの「闇取引」があったのだとしたら、東京は最悪の事態を迎えることになりそうだ。

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