指定席が取れなくても大丈夫?帰省ラッシュの新幹線「自由席」で座る技術

 仕事の忙しさで帰省の予定が立てられず、新幹線のチケットを買いに行けなかったという方も多いのではないでしょうか?

 帰省するタイミングの見通しが立っていれば、JRは指定席、乗車券、特急券ともに乗車日の1カ月前の午前10時から発売するので、午前中に買いに行けばあっさり買えるのですが、なかなかそうもいかないのが現実。

 そこで、繁忙期の新幹線に「自由席券で座る方法」を鉄道ライターの鼠入昌史さんに聞いてみました。

●偶数号車を狙う

 トイレなどがなく、単純に座席数が多いのが偶数号車。例えば東海道新幹線のぞみの自由席は1~3号車。1号車は言わずもがな運転席もあるので65席。3号車はトイレがあるので85席なのに対し、2号車は100席あるので、自ずと競争率が下がります。

●停車駅の多い列車を狙う

 東海道新幹線なら「ひかり」、東北新幹線なら「やまびこ」といった具合で、停車駅が多い列車のほうが狙い目。東海道の「ひかり」は東京~新大阪間で3時間。「のぞみ」と30分しか変わらない。そのうえ、自由席は1~5号車までと、2両も増えるのでチャンスは拡大します。

 また、「やまびこ」は列車によって(山形新幹線「つばさ」を福島まで連結しているかどうかなどの理由で)自由席の両数が異なる。10両編成だと1~5号車だけの自由席が、16両、17両のタイプだと12~17号車も自由席。さらに、この場合だと、後ろ(12号車以降)の車両には“自由席がないというイメージ”のせいで空いていることが多い。自由席の両数や号車は時刻表で確認しましょう。

●山陽新幹線について

 もし、東海道線直通の「のぞみ」博多方面行の自由席に新大阪や新神戸から乗ろうとするなら、あえて少し手前の京都まで在来線で向かい、京都から新幹線に乗るのもひとつの手段。京都が最初の降車のピークなので、空席が発生する可能性が高く、最悪でもデッキではなく車両の真ん中まで進出でき、その後の降車で空いた座席を狙うチャンスが広がる。

 同様の理由で、東海道新幹線なら名古屋、東北新幹線なら宇都宮、福島あたりも、意外と降りる人が多いので、どうせ立つなら居心地がいいからといってデッキに駐留せず、積極的に席が空くのを狙いたい。

●指定席しかない列車の場合

 東北新幹線で最速の「はやぶさ」は全車指定。東京、上野あたりから乗ろうとすると満席で絶望することになる。しかし、諦めるのはまだ早い。座る方法はまだ2つある。

 北陸新幹線の「かがやき」も同様だが、全車指定の新幹線は満席になった時点で「立席特急券」が発売される。その名の通り、座席はないが乗車は出来るというもの。そして、いざ乗ってみると、実際にはポツポツと空席があったりする。東京~盛岡まで行く場合は、立席特急券で車内に入り、大宮まで待つ。大宮を出ると、次は仙台まで停まらないので、この時点で空いていれば…もちろん、仙台から指定席を買っている人が乗ってくる可能性が高いので、駅に着く前に席からは立ち去るのがマナー。

 自由席のある「やまびこ」との乗り継ぎをする手段も。きっぷを自動券売機で買うときに「東京~盛岡」で調べたり、みどりの窓口で頼むと、全区間空席があるかないかで判断されるため、仙台からは空いていても「満席」ということになる。なので、窓口で詳細な状況を調べてもらい、空席があれば購入。そこに乗り継げる「やまびこ」で、仙台まで自由席で行くことができる。少し時間がかかってしまうが、例えば家族連れなら仙台で一時下車した際に「牛タン」を食べて、再度、盛岡を目指すというプランも立てられる。

 以上、鼠入さんの解説でした。自由席狙いなら運賃も圧縮できるので、その分駅弁などに還元もできますし、お得なのかも知れませんよ。

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