明石家さんまがおよそ5年ぶりに主役を務める舞台「七転抜刀!戸塚宿」の大阪公演(2月20日〜26日、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール)がまもなく幕を上げる。東京ではBunkamuraシアターコクーンで1月31日まで上演され、好評を博した。
さんまといえば、言わずもがなのトップ芸能人。元は落語家とあって、売れた今でも人前でネタを披露する感覚を忘れないため、舞台に立つよう心がけている。“生さんま”は貴重なので、主演舞台は毎回、発売と同時にソールドアウト。コアなファンをガッチリつかんでいる。
長きに渡ってお笑い界のトップに君臨している理由のひとつに、この舞台活動と、地元・関西のレギュラー番組を大事にする姿勢がある。関西ローカルのバラエティ番組「痛快!明石家電視台」(毎日放送)は、今年が放送開始から30周年。長寿ラジオ「MBS ヤングタウン」(MBS)にいたっては、まだペーペーだった79年に出演して以来、今なお続行中だ(現「MBS ヤングタウン土曜日」)。
スゴいのは、そんなさんまを若いころから追っかけている女性軍団がいることだ。地元紙の記者は言う。
「さんまさんは収録のために毎週月曜日、午前9時ごろに新幹線で新大阪に到着します。中年女性を中心とした追っかけ軍団は、10号車のグリーン車の喫煙車両(当時)に乗っていることを知っていて、必ず新大阪駅の中央改札口を出たところで待っています。だいたい20人。ずっと変わらないメンバーです」
お笑いモンスターとともに歩んできたファンは、目が肥えている。企画書を提出する猛者もいるという。
「さんまさんに直接、書面でプランらしきものを渡すんです。さすがというべきか、さんまさんはそれにすべて目を通している。これまで多くの番組で爆笑をかっさらってきた背景には、ファン発信の“ギフト”があったかもしれません」(前出・地元紙記者)
先の「明石家電視台」「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)などで共演経験が多い中川家・礼二は、新幹線で何度も一緒になっている。ある日、喫煙するために車両を移動した際、さんまが小さなメモ帳に何かを書いている姿を見かけた。咄嗟にメモ帳を隠して、「気づいたこととかを書くようにしてんねん」と恥ずかしそうに漏らしたさんま。笑いの天才は、努力の天才でもあった。
トップがトップであり続けるには、ちゃんと理由があるのだ。
(北村ともこ)