大学病院の現役医師が「ガン治療のウラ」大暴露(3)死亡するまで治療し続ける

─しかし、このような場合、臨床試験は二重盲検(本薬と偽薬のどちらが投与されているのか、医者も患者も知らされていない比較試験)で行われるはずですよね。どうやって手心を加えるんですか。

D 例えば二重盲検であっても、医師は患者の様子を観察することで、患者が本薬を投与されているのか、偽薬を投与されているのか、およその予測はつきます。そのうえで、本薬を投与されていると思われる患者で具合が悪そうな患者を比較試験から離脱させるなど、忖度のやり方はいろいろとあります。患者が比較試験から離脱すると、打ち切り患者の扱い、つまり生存患者の扱いとなって、統計処理上、本薬投与群の5年生存率を押し上げる場合もありますからね。

─なるほど、そうやって意図的な情報操作が行われていると。では、最初から初発巣以外の他臓器に転移が見つかった患者、あるいは手術後に他臓器への再発が見つかった患者などに対して行われる、「延命」のための抗ガン剤治療についてはどうでしょうか。

B 「アサ芸」の読者をはじめ、ガン患者にまず知っておいてもらいたいのは、肺ガンや大腸ガンなど大半の固形ガンは抗ガン剤で治すことはできないという事実です。にもかかわらず、多くの患者が他臓器などへの転移や再発があっても、抗ガン剤で治る可能性があると勘違いしています。

─なぜ勘違いを‥‥。

B 医師たちが患者を抗ガン剤治療に持ち込むべく、治らないガンであることをハッキリ伝えず、「今はよく効く抗ガン剤もたくさんあります」「私たちも全力で支えますから希望を捨てず頑張りましょう」などと言って、患者をソノ気にさせるからでしょう。

─「抗ガン剤は効かない」ということですか。

B 正確に言うと、抗ガン剤でガンが消えたり、小さくなったりすることはあります。ただ、これは一時的なもので、ガンは抗ガン剤への耐性をすぐに獲得し、すさまじい勢いでリバウンドしてきます。しかも抗ガン剤には正常細胞まで殺傷してしまう副作用、ハッキリ言えば致死的な毒性があります。にもかかわらず、副作用で苦しむ患者を尻目に、使える抗ガン剤が尽きるか治療中に患者が死亡するまで、抗ガン剤治療は続けられるのです。

─ということは、延命効果も期待できないわけですね。

B 患者の中には、種類を変えて抗ガン剤を打ち続けてもあまりダメージを受けない、という猛者もいます。そのような患者の場合、医師としても「延命効果あり」を実感することができますが、大半の患者は抗ガン剤の副作用で体をボロボロにされたあげく、ガンも一段と勢いづいて手がつけられない状態になってしまいますから。抗ガン剤の延命効果を実感できることはほとんどないというのが偽らざる実情です。

【出席者プロフィール】

A=国立大学医学部長経験者(消化器外科医)

B=公立地域中核病院診療科長(総合ガン治療医)

C=私立医科大学附属病院経営幹部(泌尿器外科医)

D=私立大学医学部附属病院診療科長(緩和ケア医)

E=国立大学医学部特任教授(腫瘍内科医)

司会=医療ジャーナリスト

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