2024年度から全駅で顔認証によるチケットレス改札の導入を目指す大阪メトロが、現在、実証実験を実施している。中央線森ノ宮駅の東改札口など4駅に、オムロンソーシアルソリューションズなどの自動改札機を設置。まずは大阪メトロ社員を対象に実験が進行中だ。
「一つは、改札機に備えつけたカメラで顔を捉え、事前登録した顔写真データと照合・承認することで改札ゲートを開閉するタイプ。もう一つは顔写真の登録に抵抗のある人向けに、QRコードを読み取り通過できるタイプの実用化も同時に目指すといいます」(交通ジャーナリスト)
導入の目的は、駅でのスムーズな通過による混雑解消にあるが、中国では、このシステムを交通違反の取り締まりになどにも利用している。いかにも中国らしいが、テロ犯などの認識にも大きな威力を発揮している。
「日本の場合、現時点では口元をマスクで覆うと認証できないケースもあるとされ、当面は機械の精度向上に取り組むことになるでしょう。改札での顔認証は1秒間に3〜5人を読み取る正確さが必要で、大阪メトロは残る4年のうちに誤認をさらに減らして認識スピードをアップさせる必要があるとしています」(前出・ジャーナリスト)
ただし、やはり我々にとって気になるのは、データの扱いだ。
「改札を通り過ぎると顔の画像から特徴点のデータを抽出し、これが大阪メトロ本社に送られ、サーバーにあるデータと一致すれば通過できる。この顔写真データが住所などの個人情報と一緒に保管されるとなると、万が一外部に漏れた場合、最悪の事態となります。そうした情報漏洩話は、ただでさえよく聞きますからね。加えて、そのデータが改札を通る時だけに使用されるものなのか、明確にさせる必要もあるでしょう」(前出・ジャーナリスト)
果たして日本に普及するのか。
(蓮見茂)