「リバプール移籍」の南野拓実は活躍できる?プレミアリーグで苦しんだ日本人(1)

 サッカー日本代表FW南野拓実が12月19日、念願だったイングランド・プレミアリーグの強豪リバプールへ加入することが決まったが、そこは多くの先駆者が出場機会を与えられずに挫折を味わった難攻不落のステージでもある。

 ここでは、世界最高峰のリーグと謳われるプレミアリーグへ参戦を果たした、過去の日本人プレーヤーを取り上げてみたい。

 2001年、弱冠20歳にしてガンバ大阪で並外れたパフォーマンスを見せていたMF稲本潤一は、鳴り物入りでイングランドの名門アーセナルへ加入したが、国内での勢いを活かすことは叶わず、初年度の試合出場がゼロという結果に。
 
 翌年の日韓W杯では2ゴールを挙げる活躍を披露。波に乗った稲本は名門アーセナルから中堅クラブのフラムへレンタル移籍し、リーグカップではヨーロッパにおける日本人初のハットトリックを達成するなど、一定の信頼を得たが、その後は度重なる怪我に悩まされる日々を過ごした。

 稲本の持つダイナミズムや縦横無尽に攻守へと関与するプレーは、プレミアリーグにおいて通用しつつあっただけに、負傷による戦線離脱がキャリアアップを阻んでしまったのは残念だった。2004年には左足骨折という悪夢に見舞われ、その後はウエストブロムウィッチ・アルビオン、カーディフ・シティと期限付きでのレンタル移籍を繰り返し、トルコのガラタサライやドイツのフランクフルトへと活躍の場を移したが、稲本本来のクオリティーが感じられた試合は数えるほどだったと言わざるを得ない。

「稲本が最初に在籍したヨーロッパクラブこそ、南野が加入したリバプールのライバルチームであるアーセナルですが、当時のアーセナルと比較しても、現在のリバプールは圧倒的にポジション争いが熾烈で、戦力のレベルも高い。稲本と南野ではその役割やポジションも異なりますが、あれほどのインパクトを残した稲本ですら、プレミアリーグの強豪クラブで爪痕を残すことができなかったという事実は、当時の日本人サポーターに世界との差を感じさせました」(スポーツライター)

 プレミアリーグにおいて、ハイレベルなポジション争いが繰り広げられているのは、何もアーセナルやリバプールといったトップクラブだけに限った話ではない。日本サッカー界における“レジェンド“として君臨し、そのカリスマ性から多くのサポーターを熱狂させた元日本代表MF中田英寿が、キャリア最後に所属したのがプレミアリーグのボルトンだった。
 
(木村慎吾)

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