昨年の夏にドイツのマインツからイングランドの古豪ニューカッスルへ加入した日本代表FW武藤嘉紀を悩ませる要素は、サッカー技術でも戦術理解力でもなく、“コミュニーケーション力”なのかもしれない。
26歳というフットボーラーとしては最も脂の乗っている時期に世界最高峰の英国プレミアリーグへ参戦した武藤だが、昨年10月のマンチェスター・ユナイテッド戦でゴールを挙げて以降はリーグ戦での得点がなく、さらに言えば、今年1月5日から2月2日までの1カ月間に至っては出場時間が0分という窮地に立たされている。
こうした大ピンチという状況の中、英紙『クロニクルライブ』はこの冬のマーケットでニューカッスルが獲得したパラグアイ代表MFミゲル・アルミロンと、悩める日本人ストライカーの現状について「武藤とは違い、ミゲル・アルミロンの英語力には一切の問題がない」と伝え、周囲とのコミュニケーションの足かせとなる武藤の英語力に疑問を呈した。
「これは武藤だけに限った問題ではなく、過去にも本田圭佑がイタリアの強豪ミランに在籍していた際、当時の指揮官ヴィンチェンツォ・モンテッラから『ケイスケがイタリア語を話しているのをほとんど聞いたことがない』と指摘されたことがあります。異国でのコミュニーケーションを苦手とする傾向のある日本人にとって、現地での語学力の向上や発音のクオリティは早急に解決すべき課題なのですが、やはり武藤も英語力に難があることを現地紙から突っ込まれてしまいましたね。現在の武藤のボスはかつてリヴァプールやインテル、レアル・マドリードなどを指揮した経験のある“超名将”のラファエル・ベニテスですから、彼の下でプレーできているという貴重な時間を語学の壁に邪魔されては本当にもったいないですよ」(スポーツライター)
もちろん、アメリカのクラブチームに2年間在籍していたアルミロンと、非英語圏のドイツでプレーしていた武藤を単純に比較することは酷だが、現在のような状況が続けば、夏にチームからの退団を強いられてしまう可能性も十分に考えられる。
名門ニューカッスルにおける熾烈な競争に打ち勝つ為にも、武藤は早急に英語力の向上を図るべき時期にさしかかっていると言えそうだ。
(木村慎吾)