お笑い「戦力外通告」を乗り越えた男たち 異分野で驚きの活躍

 霜降り明星やミルクボーイの例を出すまでもなく、お笑い芸人は一夜にしてスターになる可能性を秘めている。一方で、コンテスト番組で名を売ったにも関わらず、次第にメディアからフェードアウトして“戦力外状態”になるパターンも。志半ばでコンビを解散するケースもしかりである。

 例えば、「キングオブコント」の14年&15年度のファイナリストである「巨匠」はお笑いファン期待のコンビだったが、16年に解散。その後メンバーの岡野陽一は独特な経緯をたどっている。

「芸歴7年、プロダクション人力舎所属のイチ推しコンビでした。関西芸人がメインを占める『NHK新人お笑い大賞』で準優勝したこともあります。ネタ作り担当の岡野はギャンブル好きで、ピーク時には800万円の借金を背負っていたとか。その経験を生かしたネタはマニア受けしました。16年に解散しましたが、なんと昨年、ピンで『R-1ぐらんぷり2019』の決勝の舞台に立ち、まさかのV字回復をとげたのです」(芸能記者)

 岡野はお笑い芸人としてだけでなく、俳優としてもブレイクしている。怠け者っぽい風貌が需要を生み、今年10月期にはAbemaTVのスピンオフドラマ「時効警察はじめました 刑事課・彩雲真空」に出演、演技の評価も上げている。

 一方、お笑いコンビ「えんにち」は、「THE MANZAI」の13年度大会で〈認定漫才師50組〉に選出された実力派だった。アイパー滝沢はチンピラのような風貌、極道ネタで受けていたものの、相方・望月リョーマの芸能界引退にともない、18年に解散。ピン芸人に転向したアイパーはその後、趣味で才能を花開かせた。
 
「それは編み物です。腕は確かで、15年にはホビー大賞のユニーク賞を受賞しています。自身主宰のワークショップも定期的に開催していて、今年は大手手芸メーカーのハマナカ株式会社が個人スポンサーにつきました。12月には、都内原宿のカフェで6回目となる編み物展を開催しています」(前出・週刊誌記者)

 バラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)の人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」での優勝を機にプチブレイクしたのは「弾丸ジャッキー」。元体操選手・オラキオと元自衛隊・テキサスの異色のコンビは、多くの番組に起用された。しかし16年、およそ13年にわたるコンビ活動に終止符を打つ。

「オラキオは現在、国体出場したキャリアを生かして、東京・代官山の完全会員制のフィットネスクラブで子供を対象にした体操教室を主宰しています。役者としても経験を積んでおり、19年夏はももいろクローバーZ・佐々木彩夏が座長を務めた舞台『ももクロ一座特別公演』に出演。コンビ時代から『ももクロChan』(テレビ朝日系)に何度も出ていましたが、モノノフ(ももクロのファン)からの好感度も高いのです」(同前)

 一度は戦力外になっても、“芸は身を助く”の3人である。

(北村ともこ)

エンタメ