涌井トレードに隠された美馬・鈴木「楽天⇔ロッテ」FA移籍の舞台裏

 ロッテ・涌井秀章の楽天への金銭トレードが両球団から発表された。このトレードを、ロッテから楽天にFA移籍した鈴木大地、逆に楽天からロッテにFA移籍した美馬学と重ねて見る向きも多い。しかし、涌井の放出はもっと根深いところに要因があるようだ。

「美馬のロッテ入団会見が行われたのは12月3日。その前日には、ロッテは涌井にトレードがまとまったことを通達しています」(球界関係者)

 前ロッテ・鈴木大地の楽天への入団会見は11月27日だった。ということは、涌井のトレード交渉がスタートしたのは、鈴木の楽天入りが決定した直後だ。前出の関係者によれば、涌井のトレードを仕掛けてきたのは、楽天のほう。この情報をもとに時系列で考えると「美馬の人的補償が涌井」という見方は否定しなければならない。同時点では、28人のプロテクト名簿は作成されていないからだ。

 確かに、楽天は12月20日、美馬の人的補償としてロッテの酒居知史投手を獲得したと発表。しかし、「実質的な人的補償」という見方はあながち間違いとは言えない点もある。

「美馬、鈴木とも人的補償の発生するBランク選手でした。涌井をタダで楽天に持っていかれるくらいなら…という発想もロッテ側にはあって、むしろトレードの申し込みはありがたい話でした。金銭的見返りが望めますからね」(同前)

 近年、涌井の成績は下降ぎみ。今季は二軍落ちも経験しており、種市を筆頭に若手先発投手の台頭が著しいロッテにとって、推定年俸2億円の涌井にはさほどの未練はなかった。先発陣に一抹の不安を抱える楽天は再生可能と見たわけだが、ロッテ側があえて交換要員を望まなかったところに”ウラ”がありそうだ。

「ヘタに複数トレードにするよりも、人的補償の話とは切り離して金銭トレードとなったようです」(同前)

 ともあれ岸、浅村、渡辺直、牧田、そして涌井の加入で、楽天の「ライオンズ化」は、石井一久GMによって加速されたようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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