テレビ朝日の玉川徹氏が、独自の死刑反対論を披露し、物議をかもしている。
12月10日放送の「モーニングショー」(テレビ朝日系)では、昨年6月に東海道新幹線車内で3人が殺傷された事件の裁判について特集。検察側が無期懲役を求刑したことを報じた。
同裁判では被告が「一生刑務所で衣食住賄える」と無期懲役を歓迎するかのような意向を示しており、コメンテーターの玉川氏は「本当にこういう風に思ってるんだとしたら、無期懲役でも軽い気がするんですよね」と憤慨。その一方で冤罪の恐れを理由に「死刑は僕も反対なんですよ」と付け加えていたが、それならば玉川氏はどのような刑罰を望んでいるのだろうか。
「玉川氏は『社会で苦役とまでいわないけど、少しでも社会で役に立つようなことをさせるってことも必要なんじゃないかな』と提案。その内容については社会でどうしても必要だけど多くの人がやりたがらないもの、と説明していました。受刑者が刑務所内で従事する作業は更生の観点から職業訓練的な内容が多く、その作業を苦痛に感じない受刑者にとってはもはや刑罰と言えるのかという議論もあり、玉川氏の発言にも一理あると言えるでしょう」(週刊誌記者)
ただ受刑者を一般社会で働かせる場合、やはり逃亡の恐れがぬぐえないのも事実。それでは玉川氏はどうやって、逃亡問題をクリアしようというのか。
「ここで玉川氏は『孫悟空の緊箍児(きんこじ)って頭にはめるような物も、今は技術的にそういうことも出来るんだろうし』と提案。逃亡を企てたら頭を強烈に締め付けて、行動の自由を奪えばいいということのようです。たしかに妙案ではありますが、一方でこのアイデアは憲法第18条で禁止される“奴隷的拘束”に該当する恐れが高く、人権侵害だと非難されるのは確実でしょう。ネット民からは《政府が緊箍児を言い出したら、玉川氏は絶対反対するに違いない》といった皮肉も出る始末です」(前出・週刊誌記者)
玉川氏が言いたかったのは《無期懲役より重く、死刑ではない刑罰》というものであり、その発想自体は理解できるとの声もある。しかしその場の思い付きで新しい刑罰を提案するのは、いささか軽率だったのかもしれない。
(北野大知)