清原和博監督「ワールドトライアウト」に見る戦力外選手への”両極”サポート

 清原和博氏が監督を務めることで話題沸騰中の「ワールドトライアウト2019」が11月7日と30日に行われる。元NPB選手のメジャーリーグ挑戦や、NPB入りを目指す外国人選手たちが実戦さながらの真剣勝負をし、それを“清原監督”が審査するという。

 野球ファンの関心も高いようだが、10月30日に行われた会見で最も興味深かったのは「プロ野球選手会の協力も得て」という発言である。

「ワールドトライアウトの主催企業は今年3月に創設されましたが、それ以前から選手会スタッフと話し合いを続けていたといいます。選手のセカンドキャリア、セカンドチャンスが広がるのなら、と選手会も協力を決めたようです」(球界関係者)

 だが、現実的な問題もある。昨秋のフェニックスリーグ中にNPBが行った“セカンドキャリアに関するアンケート調査”では、希望する業種の1位は「一般企業」だった。戦力外からの再起の難しさ、また監督、コーチとして携われるのは選ばれた成功者のみという現実を踏まえた切実な声だった。

 そうしたリアルな意見が大勢を占める中、海外に行ってまで現役に固執する選手がどれくらいいるのだろうという疑問はある。他方、選手会は戦力外選手の“再就職”に関し独自に動き始めてもいる。

「11月1日にプロ退団選手8人が参加したキャリアサポート研修会を開催。一部私立大学とは特別選考入試の協定も結んでおり、研修会では元阪神で公認会計士の奥村武博氏や、元楽天で立正大准教授の西谷尚徳氏による講習も行われました」(同前)

 楽天と阪神で6年間プレーした西谷氏は、引退した翌年から高校で教鞭を執り、「現役時代から移動中に日経新聞を読んでいた」(スポーツ紙記者)という異彩ぶりだった。

「楽天の地元密着の一環で小学校を訪ねたとき、彼の希望で授業をやることになったんです。明治大学在籍中に教員免許も取得しています。将来、高校野球の監督になりたいからではなく、本当に教師を目指していました」(チーム関係者)

 野球一辺倒ではない生き方が、今日に結びついたようだ。

 ちなみにワールドトライアウトには、先ごろ女性問題でDeNAを解雇された綾部翔・元投手もエントリーしていたが、今回は見合わせるという。

 現役固執か、セカンドキャリアか。両極端のサポートについて、プロ野球界もいろいろと考えさせられそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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