清原和博「西武コーチ」就任の黒幕(2)肌感覚で強いチームを理解

 事実、同トライアウトを手始めとした「球界復帰シナリオ」が今、ひそかに練られているといい、

「結局、清原には野球しかないんですよ。いまだに批判的な目を向ける関係者は多いですが、現役時代に特に親しかった球界OBや逮捕後もつきあいの続くマスコミ関係者らの中に復帰を後押しする勢力がいます。彼らは『更生させなければ、自殺でもしそうだ。また薬物に手を出してしまうのではないか』と危惧している。今回のトライアウトだけでなく、執行猶予明けに向けてまたイベントを仕掛け、支援者たちがキャンペーンを展開していきますよ」(球界関係者)

 実際、清原氏には野球イベントのオファーが増加していた。

「11月17日に沖縄で開催される『FM沖縄ドリームマッチ』には、立浪和義氏や和田一浩氏ら名球会メンバーと参加予定です。12月1日には佐々木主浩氏や宮本慎也氏らと八王子市の野球教室に参加することも決まっています」(スポーツ紙デスク)

 もちろん、外堀が埋まり、地道にファンとの触れ合いを遂行していった暁にはプロ球界への復帰が期待される。とはいえ世論同様、近年の球界はとかくコンプライアンスを重視する傾向にある。清原氏を受け入れる球団があるのか─。

「コーチ、指導者として迎えられるのは西武ですよ。コンプライアンスの面では12球団で最も厳しい球団ですが、2年連続でリーグ制覇しながらCS敗退、選手の流出も止まらない。圧倒的な強さがなく、選手を引き止める魅力も薄れた今、古きよき時代を知るメンバーを呼び戻しているんです。一昨年に辻監督を、昨年に松井稼頭央を引き戻すと今季から2軍監督に起用した。豊田、小関らOBコーチも続々と復帰。今オフの目玉となる松坂大輔(39)の入団についても、代理人交渉は続けているといいます」(球界関係者)

 その一連の動きを指揮している「黒幕」こそ渡辺久信GM(54)。それも付け焼き刃ではなく、考えは終始一貫しているという。

「監督時代には、次期監督候補として工藤現ソフトバンク監督も戻している。結果的に工藤は球団を離れましたが、渡辺GMは自身もそうであったように、特に肌感覚で強いチームを理解している80年代〜90年代の黄金時代メンバーを戻したがっているんです。秋山、伊東、工藤、石毛、田辺、辻、デーブ‥‥彼らに監督経験があるのは言わずもがな。広岡、森という指揮官のもと、どんな野球が求められたか。それがベースにあるため、西武は今でもレギュラーを固定することにこだわっている。今季も8人が規定打席に達しています」(球界関係者)

 まさに当時を知る「最後の大物」が清原氏というわけか。だからこそ期待する要素もあるようなのだ。

「西武OBの招集は、一度はよそに出て行ったOBを戻すという作業です。渡辺GM自身も西武を戦力外になり、ヤクルトや台湾球団を渡り歩いた。『野村ID野球』をはじめ、その時の経験を持ち帰って西武の財産にできたんです。だからこそ巨人、オリックスで時に泥水をすすり、さまざまな経験をしてきた清原氏はうってつけの人材だと考えている。かつての西武の栄光もいちばん知っていますからね」(球界関係者)

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