ジメジメした梅雨のシーズン。家に引きこもっているばかりではもったいない。悪天候が続く今こそ、薄給に喘ぐ就職氷河期世代はフードデリバリーの仕事で稼ぎ時を逃してはならない。
コロナ禍で爆発的に広まったフードデリバリー。大きなフードバッグを背負って自転車を走らせる配達員の姿はすっかりおなじみになった。東京都内で配達業務にあたるAさん(40代)は言う。
「かつてはウーバーイーツの“一択”しかない時期もあり、配達料を減らされたり、何かの手違いでアカウントを凍結されても泣き寝入りしていました。しかし今は違う。出前館やmenu、Woltなどさまざまなサービスが乱立し、配達員の売り手市場。より稼げるサービスを選択できるようになったんです」
中でも注目は、今年1月に東京都の港区エリアでスタートした「ロケットナウ」。「送料0円」「サービス料0円」を謳い、徐々にエリアを拡大。現在は東京23区をカバーしている。前出・Aさんが最大手のウーバーイーツと比較する。
「例えばウーバーイーツでハンバーガーのセットを1キロ運ぶと、単価はだいたい300円台。これをお昼や夜間のピークタイムにいくつもこなしていました。一方、ロケットナウは2キロ運んで2000円という高額案件も少なくありません。仮に1時間に2件運べば時給4000円。少し前は、配達員の紹介キャンペーンで初回配達時に2000円のボーナスがもらえたので、最高時給6000円を達成した人も少なくないのでは」
複数のサービスを掛け持ちするメリットは他にもある。
「デリバリーサービスがパートナー(配達員)を確保するために、金やモノで釣るのは常套手段。キャップやTシャツなどを無料で配布するキャンペーンがあるので、特に新規のデリバリーサービスが参入した際にはチェックを欠かさないようにしています」(前出・Aさん)
1日にどれだけ稼げるのか。別の配達員Bさん(50代)がさっそくそろばんをハジいてみせる。
「自分はウーバーイーツをメインに、電動アシストつき自転車で稼働しています。満タンにしたバッテリーの走行距離がおよそ60キロ。これを使い切って8000円ほどでしょうか。自転車に積んだ予備のバッテリーも使って、1日に1万2000円稼げれば御の字ですよ」
実際にBさんの稼働明細を見せてもらったところ、1週間の収入はウーバーイーツだけで9万8000円台。1カ月で40万円近く稼いでいる計算だ。
そして突出して収入が高い日があることに気づく。なんと、最高日収2万6000円超! ふだんの倍以上に跳ね上がっているではないか。理由を聞くと、Bさんは「恵みの雨ですよ」とほくそ笑み、自転車で走り去っていった。
(つづく)