オーラスは歴代最多優勝を誇る大横綱・白鵬の退職で、その排他的すぎる“かわいがり”体質を再認識させられた日本相撲協会だ。
雲水氏は、協会と部屋の運営が元力士のみによってなされている現実にズバッと切り込む。
「歴代理事長を見ると横綱経験者がズラリ。本来は協会の運営は現役時代の成績とは関係ないはず。元相撲取りじゃない人が理事長になってもいいと思います。もし現役時代の実績が協会運営に関係あるとするなら、なぜ白鵬は退職したのか。弟子の暴力事件に関しては監督責任があるとは思いますが、部屋を1年も閉鎖するという処分は厳しすぎる。嫌気が差すまで、いじめ抜いて追い出したとしか見えない。1人横綱で長らく相撲人気を支えた白鵬は、成績で言ったら史上最高の力士のはずでしょう」
純然たるスポーツではなく国技としての側面もあるのが相撲だ。もちろん様式美として守るべきは守りつつ、組織運営は時代にマッチさせていく必要がある。
「毀誉褒貶いろいろあった朝青龍、相撲道を邁進していた貴乃花も角界から去った。それぞれ事情は違うだろうけど、協会に残っていれば運営、興行にはプラスになったはず」(雲水氏)
日馬富士、白鵬も去り、元横綱のモンゴル力士で協会に残っているのは鶴竜と照ノ富士だけである。
「一部屋につき1人の外国人力士というルールもいかがなものかと。結託されたくないんでしょう。むしろ外国人のみの部屋があっていい。一時的にバランスが崩れるかもしれないけど、新しい局面が開ける。長い目で見たら発展につながると思います」(雲水氏)
現役時代、呼吸を合わせず自分の間合いでしか立ち合いをしなかった白鵬に、やく氏は批判的な立場だ。だが、相撲普及のため白鵬が開催している少年相撲大会「白鵬杯」は高く評価している。
「これまでの相撲啓蒙活動には感謝しかない。今後の国技館の使用に関しては『どうぞ使ってください』という気持ち。そこは排除しちゃいけません」
退職会見で「世界相撲グランドスラム」構想をブチ上げた白鵬。雲水氏は参戦メンバーに期待を寄せる。
「別団体ができるのはいいことじゃないですか。相撲の世界大会を見ると強そうな力士もいますから。大砂嵐などかつて不祥事で角界を去った力士たちも戻ってきたら面白いですよね。同じく懲戒解雇された木村銀治郎を行司に登用してもいいかも(笑)」
新団体に将来有望なモンゴル力士どころか、世界中の強豪が集まったら‥‥。相撲協会には目の上のタンコブどころか最大の脅威となるのは確実だ。
*週刊アサヒ芸能6月26日号掲載