日本相撲協会のコンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)が2月21日、宮城野親方(元横綱白鵬)の2階級降格と減俸処分案を取りまとめた。厳罰である。自らスカウトしたモンゴル人力士で幕内・北青鵬(ほくせいほう)が複数の後輩力士に暴行行為を働いていたことが判明し、その監督責任が問われる。宮城野親方はこの日、報道陣に無言を貫き、北青鵬は「素直に反省している」とコメントしたが、引退勧告となりそうだ。
相撲協会では親方衆に階級(理事、副理事、役員待遇委員、委員、主任、年寄、参与)があり、宮城野親方は現在、「委員」の階級にある。
「宮城野親方は現在、相撲協会から支給される基本給は月給で約100万円で、2階級降格の年寄となると20万円以上の減俸になります。親方にとっては痛くも痒くもない金額でしょうが‥」(相撲担当記者)
厳罰の正式決定は23日にも行われる臨時理事会で決まるが、宮城野親方にとって“今後”は今までのようにはいかない。
「北青鵬は1月場所に怪我を理由に途中休場している。しかしこれが一連の暴行や金銭問題などの不祥事が理由だという情報が流れていた。万が一“仮病”で休場していたことが判明した場合、宮城野親方への処分はより厳しいものになるでしょう」(前出・相撲担当記者)
2018年、同じ元横綱の貴乃花親方も、十両貴公俊による付き人への暴行が判明し2階級降格処分を受けている。
「貴乃花親方は日馬富士による暴行事件で相撲協会の執行部と全面対決していたこともあり、その処分には重すぎるという声もありました。協会執行部にとって目障りとなった貴乃花親方を徹底的に“排除”したことで、最終的には相撲協会を退職することになりました」(夕刊紙記者)
宮城野親方は現役時代から何かと問題行動を起こしてきた“前科”がある。協会執行部が今回の不祥事の厳罰をどの程度にするか、注目されるが、貴乃花親方のように追い込まれる可能性は否定できない。
(小田龍司)