日本時間で6月17日(現地時間16日)、対パドレス戦で実に663日ぶりにマウンドにたったドジャースの大谷翔平。ドジャースでの初の「二刀流」に全米、そして日本が湧いたことは言うまでもないが、同日には大谷を巡りもう一つ大きな出来事が進行していた。
大谷の銀行口座から多額の預金を不正送金したとして、米連邦地裁から禁錮4年9か月を言い渡されていた元通訳、水原一平元被告の収監だ。
「水原被告は、今年2月上旬に判決を言い渡され、当初は3月24日正午までの出頭を命じられていました。しかし、弁護側の要請で5月12日に延期されることになった。理由は明らかになっていませんが、それがさらに延期され、出頭期限が6月16日正午となった。『3度目の正直』でようやく出頭、となったわけなんです」(同)
さて、水原被告は今後、塀の中で5年近く生活をすることになるのだが、アメリカでは、家族が面会に行きやすい刑務所に収容されるケースが多い。そのため水原被告の場合、父親がカリフォルニア州で飲食店等を経営していることもあり、同州の刑務所に収監される可能性が高いとされたが、結果的にペンシルべニア州内の連邦刑務所に収監されたという。
「アメリカの刑務所はその犯罪により、『レベル1』から『レベル5』に大別され、『レベル5』になると、そこは終身刑を受けた囚人だらけ。今回、水原被告が犯した銀行絡みの罪は、実はヘロインやコカインなどの密売などより罪が重く、かなりの重罪。水原被告の場合、本人が希望していたというカリフォルニア州はドジャースファンが多いことから回避されたとの話もありますが、警備レベルが低いとされるペンシルベニアへの収監は、罪の重さも影響しているのでしょう」(同)
現在もなお、アメリカの一部刑務所は「殺人工場」とも呼ばれ、近年も自殺や殺人の件数増加が問題視されているが、安全性が低い刑務所に収監された場合、日常的に身の危険を感じることにもなりかねない。
「基本、アメリカの刑務所には野球場やサッカー場のほか、映画館やスーパーといったレジャー施設などが充実していて、自由はある。しかし、自由だからこそ、中では壮絶なリンチなど暴力行為が行われたり、賭博も日常的。最初はタバコ1箱から始まり、やがて掛け金が大きくなりますが、アメリカの刑務所内ではIDカードで買い物ができるため、使った金は自分の口座から引き落とされる。もちろん、スポーツ中継も見放題なため、それが賭けの対象となり、払えなければ、その代償が金ではなく命となる可能性も否定できないというわけです」(同)
これから始まる約5年間、水原被告がそんな環境に耐えられるかどうか…。いずれにせよ生き地獄が待っていることだけは間違いないようだ。
(灯倫太郎)