健康宅配チェックシート〈帯状疱疹〉(1)成人の3人に1人が発症「高齢者の病気」と侮るなかれ

 今年度より、65歳以上を対象にワクチン接種費用の一部が公費負担になった帯状疱疹。症状に加えて悩ましいのが、生活の質をガクッと落としかねない合併症だろう。事前に備えるに越したことがない疾患の1つなのだ。

 各々の人生序盤を振り返ってみてほしい。もし、水疱瘡にかかったことがあるならば、帯状疱疹を発症するリスクが体内に潜在しているという。東京都にある「浅草橋西口クリニックMo」の頴川博芸院長が解説する。

「帯状疱疹の原因となるウイルスは水疱瘡と同じです。一度でも水疱瘡になってしまうと、治った後もそのウイルスは体内から完全には消えず、『神経節』という神経細胞が集合している箇所に潜伏感染し続けます。成人した日本人のおよそ9割が保有していると言われています。症状が出ない状態が続くだけに、日常生活の中で意識することもないでしょう。ところが、ストレスや疲れが蓄積するなどして免疫力が低下するとウイルスが再び活性化してしまうのです」

 特に50歳以上は要警戒。体内に潜伏していたウイルスが活性化しやすい年齢なのだ。

「発症全体の7割以上が50代以上とも言われ、70代でピークに達します。加齢とともに、免疫力は低下していますからね。国が65歳以上の年代で予防接種を推進するのもうなずけます。もっとも、シニア世代のみならず、20〜40 代でも発症するケースは珍しくないので、若いからといって侮ってはなりません。成人の3人に1人が発症すると言われています」

 その症状は体の左右どちらかの神経に沿って現れるそうで、

「例えば、左のワキ腹がピリピリ痛痒くなります。それが2〜3日もしないうちに帯状に赤く広がる。そしてだんだんと水ぶくれが増えてしまいます。一番の特徴は、症状が頭を軸とした体の中心を横断しないこと。というのも、人間の神経は背骨を起点にお腹まで繫がっています。ワキ腹のみならずお尻、腰、顔、胸、目の周りにも片方ずつ症状が現れます」

 ちなみに、同じように皮膚に症状が現れる蕁麻疹とはまったくの別もの。あらゆる相違点がある。

「確かに、症状の出初めでは痒みが生じるかもしれません。しかし、蕁麻疹が体の全身に広がって24時間以内で症状が収まるのに対して、帯状疱疹は神経に沿って広がる赤みが約3週間継続します。さらに帯状疱疹の場合は、発疹の形状も水ぶくれで神経痛などの痛みまで伴います。五十肩、狭心症、腰痛、虫垂炎、片頭痛など体の部位ごとに別の疾患と勘違いしてしまいがちです」

【「帯状疱疹」チェックシート⑩】

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①年齢が50歳以上 1点
②なんだか体がゾワゾワする 1点
③生活習慣が不規則だ 1点
④ストレスが溜まりやすい 1点
⑤慢性的な睡眠不足だ 1点
⑥眼精疲労や頭痛に悩まされている 2点
⑦水疱瘡にかかったことがある 3点
⑧皮膚に赤みを帯びたブツブツができた 3点
⑨帯状疱疹のワクチンを接種していない 3点
⑩顔、四肢、体の右(左)半分だけに帯状の発疹がある 6点

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