「いったい、いつになったら安くなるんだ」
スーパーやコメ屋の店頭価格を見て、思わず声を上げた人も多いのではないか。
総務省の「小売物価統計調査」によると、2024年1月のコシヒカリ5キロの価格は2440円だったが、今年1月は4185円だった。率にして1年で約1.7倍もアップしていることになる。秋のコメ収穫期になれば新米が市場に流通し、価格が下落するという声もあったが、9月、10月以降も一向に収まる気配は見えていない。
高止まりの原因は多岐にわたるが、その一因として、なんと、大量のコメが「行方不明」になっていることが判明し、農林水産省が調査に乗り出すことがわかった。コメがないから価格が下がらないというのだが、行方不明とはいったいどういうことか。流通ジャーナリストが語る。
「『行方不明のコメ』は17万トンとも21万トンとも言われています。そもそも、コメの流通は原則自由化されており、様々なルートと価格で取引されていますが、主要なのはJAを通して卸売業者から外食、小売に販売されるケースです。ところが、昨年はJAの元に十分なコメが集まらず、供給量を絞らざるを得なかった。流通段階で価格が高騰し、消費者に渡る時には5~7割も高くなってしまったのです」
では、JAに集まらなかったコメは、どこに「消えた」のか。
「中小の集荷業者や外食産業などが、直接農家にコメの買い付けに走っています。本来であればJAに収められるはずのコメが別のルートに流れてしまった。買い付けた業者の一部は、価格がさらに高くなったところで売り抜こうと考えている。いわば投機の対象のようになっているんです」
こうして多くのコメが消えてしまっているというのだが、とはいえ、このコメもいずれどこかで吐き出さなければ、ただの古米になるだけだ。一方、農水省は1月31日、備蓄米の運用を見直すことを決めた。これが市場にどのような影響を及ぼすか。今後も注視が必要だろう。
(ケン高田)