天才テリー伊藤対談「小池百合子」(1)東京が国に払った税収は10兆円超え

●ゲスト:小池百合子(こいけ・ゆりこ)1952、兵庫県生まれ。76年、エジプト国立カイロ大学文学部社会学科卒業。アラビア語の通訳者や「世相講談」(日本テレビ系)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)のニュースキャスターとして活躍したのちに政界へ。92年、参議院議員に初当選、93年からは衆議院議員を務める。2003年に環境大臣、07年女性初の防衛大臣、10年には自民党総務会長などを歴任する。16年、東京都知事に当選。現在、「希望の塾」塾長、「都民ファーストの会」特別顧問、「無電柱化小委員会」委員長を務める。

 キャスターから政界へ転身し、16年には女性として初の東京都知事に就任した小池百合子氏。紛糾した築地市場移転問題、そして来年の東京オリンピック・パラリンピック開催とビッグプロジェクトに関わり続ける都知事に、天才テリーがどうしても会いたかった理由とは?

テリー 都知事になられて約2年半です。これまでを振り返ってみて、どうですか。

小池 東京都の責任者として、毎日本当に身が引き締まる思いですね。と言いつつ、歩く機会が減ってしまいましたので、実は少し体重が増えてしまったんですが(笑)。

テリー アハハハ、スケジュールも分刻みでしょう。

小池 そうですね。これまでに大臣なども経験させていただきましたが、そちらは担当分野専門でしょう。ところが、知事は10~15分おきにある会議で教育問題、暑さ対策、財政問題、東京オリンピック・パラリンピックの準備など、あらゆる分野を扱いますから。息つく暇もないですね。

テリー そんな状況だと、頭や心の切り替えも大変ですね。

小池 確かにそうです。なので、私はミクロな部分を見る「虫の目」、俯瞰から全体を見渡す「鳥の目」、潮の流れを読む「魚の目」、いつもその3つの目を持つように心がけています。これは昔から言われている、ものの見方の一つですけれども、知事にとって最も必要なことではないかと。先日、来年度の予算案を発表したばかりですが、総額14兆円超で、これはスウェーデンの国家予算に匹敵する額です。それだけに責任も大きいですね。

テリー 予算といえば、約9000億円の都税を地方に再分配する、という話がありますよね。これ、都税を払っている身としては、疑問に思っているんです。

小池 昔からずっと続いている「東京はお金持ち」という理屈ですよね。東京に本社を置く企業がますます増えていて、法人税が東京都に集中するので、それを国が召し上げて地方に再分配するというわけですね。それは石原(慎太郎)さんが都知事だった頃からずっと続いてきたことで、これまで東京都が国に払った税収は軽く10兆円を超えているんですよ。

テリー ええっ、そんなに!?

小池 確かに、地方との共存共栄は必要だと思います。でも、それで地方の過疎問題や少子化対策は進みましたか、シャッター街は減りましたかといえば、改善された気配はないですよね。そんな砂漠に水をまくような方法では、地方にとっても都民にとっても、意味がありませんから。

テリー 普通に考えて、訳もなく楽してもらったお金なんて、まず真面目に使わないものですよね。

小池 それぞれの地域の特徴や特色を生かし、お互いに足りないところを補い合ってこその共存共栄です。「お前のところはため込みすぎだぞ」みたいな感じで税収を平準化したって、しかたがないんですよ。

テリー そうですよ。東京だって、税金が集まる分だけ、いろいろお金がかかるところがありますものね。

小池 ロンドン、パリ、ニューヨークなどとの都市間競争もあるわけです。本当に知恵を絞ってお金の使いみちを考えないと、日本は国際競争に勝つことはできません。

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