物言う株主が「メルカリ」の大株主に浮上、懸念される「子会社」鹿島アントラーズの行方

「物言う株主」(アクティビスト)の中でもとりわけ強い要求をすることで有名な投資ファンドが「メルカリ」の大株主として登場。経営陣はさぞや戦々恐々としていることだろう。

「上場会社では5%以上の大株主になると報告義務がありますが、11月13日に香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントが5.37%で第3位の大株主になっていたことが大量保有報告書の提出により分かりました。ただ8月次点で既に3%台の株式を保有していることは報道されていたので、いよいよ本格的に黒船が襲来したといったところでしょう」(経済ジャーナリスト)

 オアシスと言えば、過去に東京ドームに対して「不効率な経営」を指摘して3人の取締役の退任を要求、全株買取を仄めかし、結局は三井不動産が東京ドームを子会社化して解決を図ったというケースなどがあり、アクティビストの中でもかなり強硬派だ。最近は製薬会社やドラッグストアの株式を保有して、業界再編の旗振り役のような動きをみせ、一企業を超えるような影響力を示している。

 では、メルカリに対してはどんな要求を行うのか。想定されるのは、赤字続きのアメリカ事業からの撤退、後発ながらタイミーに肉薄しているスキマバイト「メルカリハロ」の強化、そして鹿島アントラーズの売却などだ。

「メルカリの3万株を持つ大株主で、個人アクティビストを自称する男性が4月にホームページで公開した“メルカリ再生プラン”が1つのモデルになるのではないでしょうか。そこで言われているのが、アメリカ事業の撤退と株主への配当です。同社の株価は年初に2400円近くあったのが、4月には1800円近くまで下落。その最大要因として彼はアメリカ事業の不振をあげ『10年で700億円の赤字を出し、シェアはわずか2.6%』と指摘しているのです。また、19年7月に買収して100%子会社化した鹿島アントラーズの業績も、23年度最終損益はマイナス3億1100万円で、2年連続の赤字。コロナ禍を脱してもなお立ち直せず、加えてメルカリ傘下になってからアントラーズは無冠。どうしたって批判の材料になってしまいます」(同)

 アントラーズといえば前身は住友金属工業のサッカー同好会で、同社は製鉄業界の再編の末、日本製鉄となった。その日本製鉄はアントラーズを放出して、現在はアメリカのUSスチールの買収の是非で、日米政界を巻き込んだ議論になっているのだから、時代を感じさせる。

(猫間滋)

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