米大統領選は日本時間の11月6日に一般投票が行われ、いよいよ新大統領が選出されるわけだが、選挙戦は最後まで波乱含みだった。
周知のようにバイデン大統領による「ゴミ発言」がハリス陣営に大打撃を与えたのである。米テレビ局関係者が言う。
「Zoom会議の席で飛び出したバイデン氏の『私が目にする唯一のゴミは、トランプ氏の支持者だ』という発言は、またたくまに全米に拡散しました。ゴミ発言騒動は、2016年の大統領選中に、ヒラリー・クリントン氏が、トランプ支持者を『哀れむべき人々』と発言、大失速した時に酷似しています」
バイデン氏の発言によって「トランプ復活が大きく近づいた」と見る識者が急増したのである。
では、仮に「トランプ大統領の復活」となった場合、日本にとって、また、石破茂首相にとってはどう作用するのか。実は「かなり深刻な事態」になるのだという。経済アナリストが解説する。
「トランプ氏は一貫して保護主義強化の姿勢ですから、中国からの輸入に対して関税を60%超、日本などの友好国にも10%程度の関税をかけてくるでしょう。こうした保護貿易は、対米輸出を押し下げ、日本経済にとって明らかにマイナス効果になります」
「防衛費の増加」という側面もあるという。トランプ氏は同盟国の防衛費負担を増す考えだからだ。それでなくても日本の防衛費は膨らむ一方で、23年度は6.8兆円、24年度が7.9兆円、27年度は11兆円になると見られている。それがトランプ氏からの圧力で一気に上振れするというのである。
「日本としては、関税の猶予や防衛費の増額猶予を嘆願することになるでしょう。ただ、それには安倍晋三元首相のようにトランプ氏と濃密な『兄弟関係』が必要。しかし、今の石破氏周辺にはトランプ氏とパイプを持つ者はほとんどいない。唯一太いパイプを持つのは、今年4月、トランプタワーで会った麻生太郎自民党最高顧問ぐらいです。しかし、麻生氏は大の石破嫌いだけに積極的に動くとは思えません」(政治部記者)
そうなると、石破首相の政権運営は一気に不透明になるという。また、政権維持のために「国民民主党頼み」となる可能性が指摘されているのも周知の通りだ。
「玉木雄一郎代表は党の公約である『103万円の壁』の見直しや、ガソリン税の『一部免税』をやり切るつもりです。しかし、これらを実施すると、年間約9.5兆円の減収となってしまいます。この減収を安易に国債などに頼れば批判は必至です。いずれにしても、石破政権は国民民主党に振り回されることになるでしょう」(政治アナリスト)
現実にトランプ氏の復活となれば、石破政権はただでさえ危うい基盤が、さらにもろくなってしまいそうなのだ。
(田村建光)