首都圏を中心に「闇バイト」を実行役とする強盗事件が相次いでいるが、犯罪に手を染める際のハードルの低さが浮き彫りになっている。
東京・中野区で起きた3000万円強盗事件などで逮捕された石川県金沢市の永田陸人容疑者は、家人に大怪我を負わせたことを認識しながらも強盗をやめずに続け、「強盗の法定刑が5年以上だったので、(有罪になっても)5年で済むという感覚になりました」と供述している。
強盗だけでも5年以上の刑となるが、相手を負傷させたり、死亡させた場合(殺人を含む)は、それぞれ強盗致傷、強盗致死の罪に問われる。傷害の場合でも「無期懲役、または6年以上の懲役」となり、死亡させた場合は「死刑または無期懲役」となる重罪なのだ。ところが、最近は刑の重さを知らない、いわゆる「情報弱者」と呼ばれる若者が増えており、安易な動機で強盗に手を染めている。
「無期懲役は期限を決めずに懲役刑に処すもので、死刑に次ぐ重い刑罰です。ただ、アメリカなどにある『終身刑』と違い、仮釈放で刑務所から出られる可能性はあり、実際、十数年で仮釈放された例も見られます。とはいえ、2005年以前は懲役の最長は20年とされていましたが、05年以降は懲役の併合罪の最長が30年と改定され、結果的に無期懲役の仮釈放審理も30年経過以降に行われるようになりました」(社会部記者)
ただ、近年は厳罰化で審理が却下されることが多くなっており、「無期懲役=終身刑」になりつつあるという。2013年には無期刑受刑者の平均受刑在所期間は「31年2月」だったが、19年に「36年」となり、22年には「45年3月」にまで伸びている。
「現在は在所年数50年、60年はザラで、認知症や病気で獄死するケースも珍しくないのです」(前出・記者)
「闇バイト」を軽く考えていると、一生を棒に振るということを忘れてはならない。
(ケン高田)