【韓国】尹大統領が“トランプ再選”を恐れる最悪なパターンとは

 米国の大統領選挙まで、残り2カ月の戦いとなった。今日のところ、多くの世論調査ではハリス副大統領が優勢との見方が多いが、米大統領選挙は獲得票数の多かった候補がその州の全選挙人を独占できる勝者総取り方式になっており、まだまだその行方はわからない。一方、この選挙の結果でウクライナや台湾、中東などの動向は大きく動く可能性があるため、各国の指導者たちはその行方を固唾を飲んで注視していることだろう。

 その一人が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領だが、トランプorハリスで、韓国にはどのような影響が考えられるのだろうか。まず、尹政権にとっては“ハリス勝利”が望ましいと思われる。政権3年目に入った尹大統領は、この2年間、北朝鮮による核・ミサイルの脅威に屈しない姿勢を強調し、対北朝鮮では日本や米国との関係強化を徹底してきた。バイデン政権の路線を継承するハリス氏は、最近も独裁者には寄り添わないとの見解を示し、対北朝鮮では日韓との連携を維持することから、尹大統領としてもそれを望んでいよう。

 しかしトランプ氏が大統領に返り咲けば、尹大統領が望む日米韓の結束にヒビが生じることは避けられない。トランプ氏は前回、2017年1月に大統領に就任したが、当初は金正恩総書記を「ロケットマン」などと揶揄し、米朝の間では軍事的緊張が高まったものの、18年の平昌五輪あたりを境に雪解けを迎え、トランプ氏はその後ベトナム、シンガポール、板門店と3度も対面で金氏と会談した。トランプ氏は最近も、「彼(金氏)も私の返り咲きを望んでいるはずだ」などと発言していることから、トランプ再来によって米国は独自で北朝鮮との関係改善を進み、尹大統領が重視する日米韓の結束は形骸化していくことは間違いなく、悩みの種は増えるだけだろう。

(北島豊)

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