【日テレvs旧統一教会】因縁バトルが再燃していた(2)安倍元総理の動画が忽然と消えた

 旧統一教会問題を追及してきたジャーナリスト・鈴木エイト氏もこう話す。

「バラエティーだからと言われれば、それまでですが、残念なことです。事件直後に取り上げるのなら、まだ世間の捉え方も違ったのではないでしょうか。実際、事件から2カ月後に同番組では、やはり旧統一教会の悪辣な勧誘や霊感商法を取り上げ、教団への忖度なく切り込んだと、高く評価されました。ところが、どうして2年経った今だったのか。今後の裁判員裁判に影響を与えかねないとの懸念だけが残る結果となった」

 ところが、同番組を巡る騒動は、これだけで収束しなかった。放送直後に無料のネット配信が「TVer」で始まったのだが、8月14日に配信停止。当然ながら、前述のトーク部分が問題になったのではとささやかれたが、翌15日に配信が再開されるという奇々怪々な展開を見せたのだ。

 さっそく本誌は本放送と配信映像を比較してみた。本放送では一部、系列局のニュース映像が使用されていたが、その部分が配信映像では「権利の都合で配信できません」と画面が真っ暗に。これは納得できるのだが、こうした断りもなくカットされた部分が他にもあったのだ。

 それは、再現ドラマの中で山上被告が教団幹部への襲撃を諦め、標的を安倍元総理に変更する場面だった。いわば、安倍元総理と旧統一教会の関係が語られるシーンである。本放送では、山上被告がパソコンでユーチューブを視聴する場面から、実際に見たであろう映像へと切り替わる。よく知られた教団の関連団体「UPF」(天宙平和連合)主催の会合で、アメリカのトランプ前大統領と安倍元総理が映像を通じて挨拶する動画である。ところが、この動画が配信では、忽然と消えていたのだ。

「日テレは『権利関係で再編集したが、内容に変更はない』とコメントしています。実際、問題の動画はバッサリと切られていましたが、配信を見ても山上被告が安倍元総理を標的にした理由はしっかりとわかる内容で、自然な流れになっていました。あとから問題の動画について、教団側から『当法人の著作権映像の無断使用を禁ずる』と抗議が入っていたことがわかったのです」(放送担当記者)

 これに対して、手厳しい意見を述べるのが、長らく教団と対峙してきたジャーナリストの有田芳生氏だ。

「確かに著作権の問題を持ち出せば抗議の対象にもなりますが、報道目的ならそれもクリアできます。いかに現在のマスコミ報道の腰が引けているかを示す一例と言えるでしょう」

(つづく)

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