自民党の石破茂元幹事長が5度目となる総裁選への挑戦に乗り出したが、早くもその言動で「また自民党に後ろから鉄砲を撃った」「信念がない」などとブーイングが飛び交い、いきなりつまづいた格好となっている。
政治アナリストが説明する。
「石破氏は8月24日、地元鳥取の神社での出馬会見で記者から、裏金問題に関与した自民議員の国政選挙での公認の是非を問われると、『国民の審判を受けるにふさわしい候補者か、党として責任を持つ』と発言。仮に自身が総裁になった場合、処分議員を公認しない可能性を示したのです」
この背景にあるのは世論の厳しい目だ。政治資金問題を巡っては、安倍派と二階派の議員ら39人が処分されたが、例えば共同通信の8月17~19日の最新世論調査では岸田首相の退陣について「信頼回復のきっかけにはならない」との回答が実に78%と8割近くに上っている。そのため石破氏としても裏金問題を曖昧にしたままでは仮に総裁になったとしても総選挙では勝てないと見て、一歩踏み込んだ「非公認発言」につながったと見られる。
「この石破発言に怒ったのは旧安倍派を中心とした議員で、『今回は石破に投票しようと思っていたがヤメだ』『もう総裁になったつもりか』との声が噴出。中には直接、石破氏に電話して真意を確かめる議員もいたといいます」(前出・政治アナリスト)
この激しいリアクションに石破氏も揺れる。翌25日には「(公認については)新体制になってどうするのか決める。(党総裁に)なってもいない者が予断を持って言うべきではない」などとトーンダウンし、何やらブレブレなのである。自民党長老もこう呆れる。
「石破にすれば『非公認』発言は地方票の上積みを狙っての先制攻撃のつもりだった。ところが石破シンパから『総裁になっていないのになんという軽口。これで国会議員票20票は逃げる』と激怒された揚げ句、『推薦人をやめたいとの動きもある』などという声まで出たとか
世論調査でポスト岸田のトップに位置してきた石破氏だが、この初動ミスがどう響くか。
(田村建光)