毎年6月は株主総会が集中するが、今年は6月27日が特に多い日で、上場企業の3割にあたる668社が株主総会を開催した。不祥事を起こした会社は株主に陳謝し、最近多いアクティビスト(モノ言う株主)からの提案を巡る攻防もあり…。株主総会は企業と株主がさまざまな形で対峙する場でもあるが、その結果、「珍事」が勃発するのもまた、毎年の風景だ。
「集中日に先んじた6月21日に行われた三菱商事の株主総会では、質問のトップバッターに立った男性がいきなり『水も出さないのか』と言い出しました。すると、会社側は水くらいで余計な波風を立たせたくないと判断したのか、会場のプリンスホテルのペットボトルを用意して、中西勝也社長が『お帰りの際、受け取っていただけたら』と答えたのです」(経済ジャーナリスト)
さっそくSNSでもこの出来事が取り上げられ、《大事な総会に水を差すな》といった、某番組で座布団がもらえそうな書き込みも上がったものだ。ところが、この「水の男性」は、4日後に行われたオリックスの株主総会にも現われたのだった。
「質問に立った男性が、『三菱商事に水を要求したら帰りに出してくれた。素晴らしい会社だ』などと発言したので、『ああ、あの水の人か』という話になったのです。オリックスに関しては、以前は多くの会社で出していたお土産を出さないのは仕方ないとして、せめて『100円のあんパンくらいは出して欲しい』と要求したのです。さすがに水と違って、すぐには用意できなかったようですが」(前出・ジャーナリスト)
一方、毎年行われるため、もはや珍事でなく「定例」となっているのが、6月24日に行われたバンダイナムコの株主総会だ。同社の総会は、同社製品のアニメキャラなどに扮したコスプレイヤーが必ず質問に立つことから、「株主フェス」と呼ばれる。もちろん今年も期待が裏切られることはなかった。
「今年は日曜日の朝のアニメ、通称『ニチアサ』のキャラ、『アイマス(アイドルマスター)』の主人公の『P』、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に出てくるスレッタ・マーキュリーといったキャラに扮したコスプレイヤー株主が質問に立ちました。SNSでは『フェスと違って、前の席はがらがら』という現地報告が上げられていましたね」(前出・ジャーナリスト)
重大な社会的事案を引き起こした会社のそれと比べれば、実に平和な株主総会とも言えるが…。
(猫間滋)