6月に入り、ちょうど今が旬を迎えるサクランボ。しかし、他の野菜や果物同様に店頭価格が高騰しており、人気ブランド「佐藤錦」でなくても、品種によっては約200g入った1パックが1000円を突破、購入を控える消費者も多いようだ。
値上がりの理由は、単に物価高の影響だけではないという。山形県内でサクランボ農家を営む男性は次のように話す。
「肥料など、栽培にかかるコストが上昇しているので、われわれ農家が利益を確保するためには、今までの価格では厳しい。ただ、それに加えて今年は例年より収穫量が10~15%減っており、高騰に拍車がかかっています」
また、品質面でもいびつなものが多いという。
「例えば、皮の部分が裂けている『実割れ』。実際には1つの実なのに2つのサクランボがくっついたような見た目の『双子果』のいずれも今年は多い。糖度が下がったわけではなく味は変わりませんが、市場にはあまり流通させません。これらは『訳あり品』として本来の市場価格より安く設定して地元の直売所やネットで販売しています」(前出・農家の男性)
形状の異常が目立つ原因として考えられるのは、昨年の記録的な猛暑だという。これに春先の天候不順が追い打ちをかけたらしい。
「サクランボはハウス栽培が多く、露地栽培でも雨よけのシートをかけているのですが、それでも天候や気温に左右されやすいデリケートな果物です。長期予報によると、今夏も昨年並みの猛暑らしいので、来年も今年と同じ状況になる可能性が高そうです」(前出・農家の男性)
初夏の味として楽しみにしている人が多いサクランボだが、今後は庶民には手が届かない「高級フルーツ」となってしまうのか…。