国民生活センターは5月29日、著名人になりすましたSNSアカウントから投資話を持ちかけられお金を騙し取られたとの相談が急増していると注意喚起した。かつて投資詐欺といえば、高齢者を狙ったものが主流だったが、最近では20~30代がターゲットになることも増えているという。
「同センターによると、『著名人が主催する投資の勉強会』『著名人が投資のノウハウを教える』『著名人と知り合って儲けられる』などとSNS上の広告をきっかけに知り合った投資グループから勧誘されてトラブルになったという相談が、2023年度は1629件。前年度と比較して約9.6倍に急増しているといいます。平均契約購入金額も687万円と被害額も高額化していて、『いったん振込してしまうと被害回復が難しい』と騙されないように注意を促しているのです」(社会部記者)
若者はネットリテラシーも高く、こうした投資詐欺には簡単に引っかからないと思われるかもしない。しかし、警視庁の「令和4年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、利殖勧誘事犯(未公開株、社債、外国通貨の取引、ファンドへの投資勧誘、投資被害の救済を装って金を集める悪質商法)の相談は30代以下だけで全体の30.9%にのぼることが分かっており、最近は投資詐欺に騙されるのは高齢者よりも若者の方が増加しているのだ。
「なぜ若者が騙されるかといえば、手口の巧妙化があります。AI技術を使った著名人にそっくりなボイスメッセージなどで相手を信用させ、まずはLINEグループに誘い込みます。そして、そこでは著名人になりすました人物だけでなく、被害者と同じ投資に参加する仲間役の人物もいて、2~3カ月という長期にわたって信頼関係を築いてからお金を騙し取るケースもあるのです。さらに、偽の投資運用アプリで儲けが出てるように錯覚させ、『億り人』や『FIRE』などの言葉で夢を見させて、多額の金銭を振り込ませるのです」(犯罪ジャーナリスト)
今の若者たちは経済的な不安を強く感じているため、騙されやすい面もあるようだ。
(小林洋三)