ドジャースの大谷翔平選手の銀行口座から不正送金した罪に問われた元通訳の水原一平被告。5月14日(日本時間15日)にロサンゼルスの連邦地方裁判所に出廷し、罪状認否に臨んだ。すでに罪を認める検察との司法取引は行っているため、この日は手続き上の理由から形式的に無罪を主張。次回審理で罪を認める見通しという。
水原被告はオンラインを使った違法賭博で借金を重ねていたが、この問題は8日、国会でも取り上げられていた。
立憲民主党の本庄さとし議員は内閣委員会の一般質疑での質問の中で、水原容疑者の事件で改めてギャンブル依存症の問題が注目されていると述べ、若者らのギャンブル依存症予防に関する政府の対策の強化を求めた。さらに、オンラインカジノには“無料版”があり、そこから違法な“有料版”に誘導していると指摘。それに対し、林芳正官房長官は「無料サイトも含めて、オンラインカジノに誘引するような広告がネット上に様々あると承知をしている。これは結果的に犯罪者を増やすことにつながると考えている」と述べ、対策を検討していきたいとの意向を示した。
「オンラインカジノに誘導するネット広告では“カジノ”という言葉を使わず、まずゲームの無料版に誘います。そこでゲームを無料体験させ、そのゲームで違法オンラインカジノの特典を付ける。それによりユーザーは、今度は違法オンラインカジノに流れてしまう手口になっているようです」(夕刊紙記者)
デジタル分析支援会社のシミラーウェブジャパンの調査によると、オンラインカジノへの国別アクセス数(3月現在)で、日本はブラジル、カナダ、ドイツについで4位。公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」が2023年に開催した相談会では、依存症の人の家族からスポーツ賭博を含むインターネットカジノに関する相談が97件あり、新型コロナウイルス感染拡大前の19年に比べて12倍になったという。
「スマホでゲームをしている人は多く、その流れでオンラインカジノにも手を出してしまうケースが多いようです。海外で合法的に運営されているオンラインカジノでも、日本国内からアクセスして賭博を行えば違法。しかし海外事業者の取り締まりは非常に難しく、事実上野放し状態といわれます」(同)
スマホだと若者も気軽にアクセスできるだけに、早急な対策が求められる。
(鈴木十朗)