中国「貧乏人セット」を嗤えない、ローソンvsセブンの「安売り商戦」

 中国では10~15人民元(約210~320円)出せば腹一杯食える「激安食」がはやっているという。1つで約42円の「2元ベーカリー」や3元(約64円)で朝食食べ放題の「貧乏人セット」を出す店などが急速に集客を増やしている。近年の不動産不況や若者の就職難、高い失業率もあって、特に将来に不安を覚えるZ世代を中心に人気なのだとか。

 一方、将来への不安の大きさでは日本の若者も負けていない。そこでコンビニ各社では、大胆な安売り商戦が繰り広げられている。

「最近話題になっているのが、ローソンPBの大盛カップ麺シリーズです。『豚コクしょうゆラーメン』『辛みそラーメン』『天かすうどん七味付き』『辛コク濃厚カレーうどん』が税込み198円。ローソンでは『安くてお腹いっぱいになる』PB商品がなかったことから開発に着手したといいますが、同時におにぎりなどとの食べ合わせも考慮に入れているとか。実際、113円の『塩にぎり』と108円のペットボトルのお茶との〝セット〟で、計419円の組み合わせがよく売れているそうです」(経済ジャーナリスト)

 弁当の価格帯の見直しを行ったのがセブン-イレブンだ。同社はこれまで「600円以上」「400円から559円」「400円以下」の価格帯弁当を7:9:3としていたものを、4月から4:9:5にし、低価格帯を厚くしたラインナップに切り替えた。さらに食品ロス削減の動きもあって、セブン-イレブンでは、これまで3割の店舗で実施していた値引き販売を5月中旬から拡大していくとしている。

「コンビニ各社では、過剰包装や上げ底で内容量の少ない割には割高だった弁当の価格を見直す動きがあります。特にセブン-イレブンは高価格帯商品が多く、これが顧客離れを招いていました。コンビニ各社の決算は好調ですが、コロナ禍の客離れから回復しておらず、安売り商戦で客足の回復を図りたいところでしょう」(同)

 コンビニが価格を見直してくれて、値段が安くなるのは庶民としては嬉しいところ。ただローソンの“419円コース”だと野菜は乾燥ネギだけとなり、SNSでは栄養バランスの悪さを指摘する声もある。

 やはりデフレ経済は、どこかに安さゆえの歪みが生じているということか。

(猫間滋)

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