ウワサされていたサッカーJ1浦和レッズの西野努テクニカルダイレクター(TD)の退団が、4月15日に発表された。TDはクラブ強化の総責任者で、西野TDは神戸大から1993年に浦和に入団した元Jリーガー。2021年末から浦和のTDに就任していた。
浦和の戸苅淳本部長は昨年末に西野TDの方からキャリアプランの相談を受けていたそうだが、行き先はすでに決まっている。同じJ1のライバルクラブ、横浜F・マリノスだ。正式に決定すれば、たちまち浦和の監督・選手の契約金や補強ルートなど、データは全て横浜に筒抜けになる。そもそもTDのシーズン中の移籍は、31年目のJリーグで過去になかったことで、横浜の関係者でさえ「西野さんがうちに来るということは新聞報道で知りました」と困惑しきりなのだ。
西野TDは浦和に4年半在籍したが、目に見える功績といえばアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の優勝程度で、リーグ戦は全く勝てなかった。
「それでも昨季はJ1神戸からオファーがありました。神戸が優勝してしまったのでその話は無くなったのですが、神戸の場合、三木谷浩史オーナーがカネも出すけど口も出す。西野TDはその辺りもしっかり神戸関係者に“取材”していたそうですよ」(浦和関係者)
ただ、浦和のフロントにとっては西野TDの退団は渡りに船の状態だった。
「西野TDが在籍した強化部では、その独裁的な手法に他の強化部員がシラケきっていました。あんなに仲の悪い強化部は他のクラブでは見たことがないないと、Jリーグ関係者の中でも有名な話でしたから」(他のJクラブフロント)
浦和からすれば、横浜からの「西野TDが欲しい」というオファーは待ちに待ったものだったということだ。
(小田龍司)