佐藤治彦「儲かる“マネー”駆け込み寺」北陸地域4県への「旅行支援」4万円以内の場合は宿泊代金が半額

 能登半島地震を受けての旅行支援「北陸応援割」の予約が始まった。対象は石川県(第1弾)、新潟県、富山県、福井県の旅行だ。

 実施期間は北陸新幹線の金沢(石川県)─敦賀(福井県)間が開業する3月16日から大型連休前の4月26日宿泊分まで。既存の予約分は対象外のため、予約をする際に、北陸応援割の対象かをチェックしてから申し込んでもらいたい。

 対象は宿泊単体のものと宿泊を伴うツアーで、日帰り旅行は対象外となる。宿泊を伴うツアーとは「交通付旅行商品」のこと。つまり、新幹線や航空機、バスなどと宿泊がセットになった旅行商品。各地の観光地を回る団体旅行なども対象になるというわけだ。

 気になる支援内容は宿泊のみの場合、最大50%の割引(1人あたり1泊2万円まで)。もし1泊4万円までの宿泊なら半額となり、それ以上の場合は2万円が割引かれることになる。

 これまでの旅行支援は、1旅行あたり最長6泊までといった制限があったが、今回はその制限もない。ビジネス目的の場合は対象外だが、観光目的でのビジネスホテルへの宿泊も対象となり、半額だ。最近は旅行しながら仕事をするワーケーションというのもあるので、このあたりの線引きは難しいね。

 また、交通付ツアーの場合も50%の支援額だが、1泊の場合は最大2万円、2泊以上で3万円までの割引。さらに石川、新潟、福井、富山県のうち、宿泊地が2県以上の場合は、3万5000円の割引が上限となっている。

 つまり、金沢へ飛行機や新幹線で行く1泊2泊の団体旅行や、ホテルと新幹線などがセットになったものは4万円までなら半額、それ以上は2万円引き。2泊以上なら6万円のものまで半額で、それ以上は3万円の割引。金沢に1泊、敦賀に1泊するツアーなら7万円まで半額で、それより高いツアーなどは3万5000円の割引というわけだ。

 パックツアーなどは新幹線や飛行機代だけでなく、各地の観光や食事もつくわけで、それらがすべてまとめて半額になるのだからうれしいね。

 今回の旅行支援の特徴は、今までは土日祝日などは対象外や割引率が低いことが多かったが、曜日を問わず同じであること。また、みやげ物や飲食店などで使えた商品券(クーポン)がないことだ。

 その分、1泊の支援の上限を2万円と高額にしている。これは新潟、富山、石川、福井の各県にはいい温泉が多く、それらの宿泊代金(朝と夜の食事もついてくるのが一般的)は1泊3万円以上の高額のものが少なくない。それをカバーするには、宿泊の支援に特化して割引するのが賢明と考えたのだろう。

 石川県では大型連休明けに第2弾が予定されているほか、被害が甚大だった能登半島については、復興の状況を見て最大7割引の旅行支援が行われる。和倉温泉や輪島への旅などは後日というわけだ。

 私がちょっと意外に思ったのは、支援対象に訪日外国人観光客を加えたこと。このような支援は「支援があるなら行ってみよう」という需要の掘り起こしで、訪日外国人は「旅行支援があるから日本に行こう」という人は少ないはず。そういう人まで対象にする必要があったのか、それだけの予算を組んでいるのか、はなはだ疑問だ。

 いずれにしても、各地の宿泊施設には、能登半島から二次避難をしている人たちも多く泊まっている。それらの人たちに迷惑のかからないような運用をしてもらいたいと強く思う。

 正直言うとね、こういう旅行支援もいいけれど、訪日外国人まで支援する予算があるのなら、能登半島に手弁当で入ってくれているボランティアの人たちの支援をもっと強化してほしい。せめて交通費や食事代とか支援できないものかと思っている。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。新刊「つみたてよりも個別株! 新NISA この10銘柄を買いなさい!」(扶桑社)が発売中。

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