岸田文雄首相と韓国の尹錫悦大統領が揃って野球観戦外交か――。そんな報道が飛び出したのは2月14日のこと。
大谷翔平や山本由伸が所属するドジャースと、ダルビッシュ有・松井裕樹所属のパドレスによるMLB開幕戦が3月20・21日に韓国ソウルで行われる。そんな中、同じタイミングで岸田首相が韓国を訪問、会談する方向で調整していることが報じられ、一部ではその開幕戦を観戦する案も浮上していると伝えられているのだ。
日本国内では、本来は早々に話し合われるべき来年度予算案の是非をよそに、自民党の裏金疑惑の解明は混迷を極め、国民の怒りは爆発寸前。時事通信が行った2月の内閣支持率調査では、過去最低の16.9%を記録して不人気ぶりは最高潮…。そこへ来ての「野球観戦外交」浮上だけに、SNS上では「まさか本当に観戦するわけないよね」「大谷人気にあやかろうとしているなら最悪だ」などと早くも釘を刺す怒りのコメントが飛び交っている。
ただ、思い起こされるのは尹大統領が初めて訪日した昨年3月のこと。当時は日本で開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の1次ラウンド最中で、3月10日の日韓戦を揃って観戦するというサプライズ外交が一度は報じられつつも、結局は実現していない。
「実際の尹大統領の訪日は3月16・17日になりましたからね。野球観戦外交が実現しなかった理由としては、過去の日韓戦で政治とナショナリズムの分離を越えた騒動があって禍根を残したことも挙げられる。また現在の日韓の野球には実力差がだいぶあり『日本が大勝して興覚めな試合になる可能性が高かったから』なんて憶測もありました。ただ、そもそもこの時の野球観戦外交については、報じた韓国メディアの記事は少し時間が経つと削除されていた。願望含みの発信だったのかもしれません」(全国紙記者)
だが今回のメジャーの試合観戦に関しては、日韓の外交上で齟齬はない。もし実現しなかったとすれば、岸田首相の不人気によるところが大きいのかもしれない。