ポスト清宮に浮上…「中日2軍で腐りかけていた戦力」が新庄ファイターズを救う

 苦い思い出や経験も、のちに糧となるということか…。

 キャンプイン直前に左足首を負傷した清宮幸太郎に代わって、新三塁手候補として意外な選手が浮上している。捕手の郡司裕也である。2月6日の内野守備練習からサードでのノックに参加しているが、違和感は全くない。今季は本当にスタメンサードで起用されるかもしれない。

「郡司自身がコメントしていましたが、ドラゴンズ時代にファームで内野を守らされていましたからね」(スポーツ紙記者)

 郡司は昨季途中、交換トレードで日本ハムに入団。捕手としての守備能力は高いが、トレード前の中日時代はそのほとんどを2軍で過ごしていた。

「1軍は最下位、2軍も大変な状態でした。野手不足に陥り、引退表明していた福田永将(現コーチ)がセレモニー2日前のファーム戦で『4番DH』で出場していましたからね」(名古屋在住記者)

 中日の人材難はそれだけではない。捕手の加藤匠馬がスタメン三塁を任された試合もあれば、同じく捕手の味谷大誠が一塁を守ることもザラ。郡司も同様だった。

「打撃力が高く、スタメン出場させるためのコンバートならともかく、郡司らはただ試合を成立させるために内野を守らされていたんです。悶々とした思いを募らせていました」(前出・同)

 1軍昇格のためのステップにもならない起用の連続で、腐りかけていた。しかし、日本ハムに移籍して、スタメン出場の可能性は大いに拡大した。

「郡司は慶應大学時代は強打の捕手として知られていました。捕手としては今も伏見虎威らとの厳しい競争となっていますが、打つほうでアピールできれば、状況は変わってきます」(前出・スポーツ紙記者)

 打撃力の高い捕手は貴重だ。清宮不在の間、三塁手としてバットで結果を出せれば、日本ハムの正捕手争いにも進展が見られるかもしれない。

 ちなみに、「三塁・清宮」は昨季、リーグワーストの失策数(13個)をカウントしている。進展が見られるのは、正捕手争いではなく、スタメン・サードのほうかもしれない。

(飯山満/スポーツライター)

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