野手に目を向けると、セの打率最下位はなんと巨人の4番・岡本和真(26)だ。2年連続の本塁打王はホームランこそ21本放っているが、打率はレギュラー定着後最低の数字を記録。
プロ野球評論家の伊原春樹氏が語る。
「マークが厳しいにせよ、巨人の4番が最下位では‥‥。あと4分ぐらい上げなければダメです。対して好調ヤクルトの4番・村上宗隆(22)は3割をキープして、本塁打と打点で二冠王。村上は常に闘志剥き出しで、凡打に終わると悔しさを表します。岡本には村上のようなガッツが感じられません。2人のスタイルの差がチーム状況に影響しています」
同じく巨人の中軸である坂本勇人(33)も、前半戦出場49試合と自己ワーストを塗り替えている。開幕直前と5月、そして7月と、今季は3度も戦線離脱した。
「ケガは仕方ないにせよ、存在感は岡本より大きく、坂本の離脱が巨人の不調に直結しています」(伊原氏)
パの打者で目を引くのはロッテのレアード(34)だ。打率2割1厘、出塁率2割4分6厘はいずれもリーグ最下位。開幕は4番だったが、夏場以降は5〜7番をウロチョロしている。
「やっと2割では、あまりにも悪すぎます。井口監督も辛抱強く使っていますが、1、2番の荻野貴司(36)と髙部瑛斗(24)が状態を上げているので、クリーンナップが頑張らないと優勝争いに加われないでしょうね」(伊原氏)
ロッテは規定打席にも到達していないマーティン(34)とエチェバリア(33)も含め、助っ人3人が揃って大不振という誤算ぶりである。
得点圏打率は、セでは巨人・ポランコ(30)、パではオリックス・福田周平(29)がともにチャンスでの脆さを露呈している。
「1割台はあまりにも寂しすぎます。最低でも4回に1回は打ってくれないと、首脳陣はたまりません。この2人以外では、阪神の中野拓夢(26)も2割3厘と低すぎます」(伊原氏)
中野は打率こそ2割8分7厘だが、三振62に対して四球9と、打者別のBB/K(選球眼のよさ)でも最低の数値だ。
「昔と異なり、昨今の1、2番は初球から振っていくバッターが多くなりましたが、やはり1、2番は、相手投手に多く投げさせるのも役割ですからね」(伊原氏)
最多三振はオリックス・杉本裕太郎(31)。昨季の本塁打王&3割打者は開幕からパッとせず、本塁打11本、打率2割4分7厘の低空飛行ぶり。
「6月以降、貢献できてきましたが、外角高めの速球を筆頭にウイークポイントが多すぎます。対してセの『三振王』阪神の佐藤輝明(23)は、タイミングこそ合いますがバットに当たりませんね」(伊原氏)
両リーグ最少の得点数を誇る中日は、阿部寿樹(32)と木下拓哉(30)の満塁成績の合計が14打数無安打と散々だった。
「中日は僅差負けが多いので、2人が好機で3〜4安打を打っていれば‥‥。後半戦も満塁になった際、精神的なプレッシャーを感じるかもしれず、代打も検討されるでしょう」(伊原氏)
空砲王には、ダントツで巨人・ウォーカー(30)が輝いた。
「日ハム・清宮幸太郎(23)がワースト2に入っていますが、これに関しては巡り合わせもあります。清宮は得点圏打率が1割6分9厘と低く、ソロホームランが多いですが、オールスターのサヨナラ本塁打が後半戦に向けた転機になるかもしれません」(伊原氏)
ちなみに、西武・山川穂高(30)の負け試合本塁打は全29本中4本、村上も33本中6本であり、効果的な一発を放っていることがわかる。
一方、守備も見逃せない。最多失策数12はDeNA・牧秀悟(24)。開幕から4番を打ち続け、打棒では十分にアピールしてきたが、守乱がネックとなりワーストナイン入り。同じ二塁手の広島・菊池涼介(32)の2と比べるとダントツの多さだ。
「二塁手で12個は考えられません。本拠地が人工芝の横浜スタジアムでこの数字ですか。三塁に宮﨑敏郎(33)、一塁にソト(33)や佐野恵太(27)がいるので二塁を守っていますが、そもそも、牧はセカンドタイプではありませんからね」(伊原氏)
年俸2億円ながら、左膝手術で今季絶望的な梶谷隆幸(33)はともかく、ワーストナインたちの後半戦巻き返しに期待したい。
*「週刊アサヒ芸能」8月11号掲載