石川県の発表によれば、能登半島地震による県内の死者は1月10日時点で206人。その多くは家屋の倒壊による圧死と見られている。なかでも甚大な被害に見舞われたのが珠洲市。市街地の家屋は「全壊」もしくは「ほぼ全壊」の状態で、泉谷満寿裕市長は「壊滅的な状況。住宅の全壊は1000棟ほど出ているのでは」とコメントしている。
1月10日放送のテレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」でインタビューしたのは、珠洲市の自宅が壊滅的な被害を受け、金沢市に一時避難中の高齢者夫妻。昨年5月に地震が起きた後、リフォーム工事を行ったばかりだったという。番組のリポーターは、マイクを向けて、「去年も大きな地震があったなかで、耐震(工事)をしなかった理由っていうのは何かあるんですか?」と質問。妻は「もう、あれ(去年の地震)でおしまいというのがあった」と語り、夫は「耐震よりもちょっと補修すれば住めるから。耐震しようと思ったら家全部しなきゃいけない。年寄り2人ではそこまでお金かけられない」と切実な事情を明かしていた。
このインタビューシーンを受けて《なぜ耐震工事しなかった? そんな余裕ないよ》《耐震工事しなかった理由? そんなこと聞くなよ》《自宅壊れた人には非情すぎる》といったリアクションが寄せられていた。
「番組では1981年の建築基準法改正によって、震度7程度でも倒壊しない基準に強化されたと説明。石川県内で倒壊した家屋はそれ以前に建てられたもので、実際、珠洲市の耐震化率は51%だったと解説していました。気になるのは耐震工事の費用ですが、番組によれば木造2階建て住宅の場合はおよそ200万円が目安になっているとのことで、県から補助金が出るものの、高齢者には大きな出費。いつくるかわからない地震のために、ポンと出せる額ではありません。家を失って避難してきた高齢者に『なぜ耐震工事をしなかった?』と聞くのは、辛辣な印象を与えてしまうかもしれません」(メディア誌ライター)
被災地復興とともに全国的な耐震化の拡充を願ってやまない。