「ディズニー・プラス」開始でストリーミング業界の勢力図はこう変わる!

 ディズニーファンが集う年に1度のイベント、「D23エキスポ」がカリフォルニア州のアナハイムで8月23〜25日に行われた。「D23」とは、1923年にウォルト・ディズニーがハリウッドに映画会社を設立したことにちなんで名づけられたもので、世界最大のディズニー公式ファンクラブのことだ。ファンクラブのメンバーになると、マガジンが送られてきたり、限定グッズが買えたり、スペシャルイベントに招待されたりと、よくあるファンクラブ特典を受けることができる。

 今回のエキスポ、ディズニーが特に力を入れていたのが、11月12日から独自に始める新動画配信のストリーミング・サービス「Disney+」のプロモーションだ。ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガー会長が「当社にとってDisney+以上に重要なプロジェクトは存在しない」と話すくらいの力の入れようなのだ。会場では来場者限定の割引サービスが発表されたことで、受付ブースには長蛇の列ができたという。

「Disney+」では、ディズニー映画はもちろん、傘下のピクサー、マーベル、スター・ウォーズといったディズニー・グループの作品が見られる。これまでもHuluやNetflixに作品提供していたものの、プラスに加入すればこれらを一緒くたに見ることができる上、さらにスター・ウォーズの世界を舞台にしたスピン・オフドラマなど、独自制作のオリジナル作品が楽しめることになる。

 今のところ海外でのサービス開始は、11月12日のカナダ、オランダ、19日のオーストラリア、ニュージーランドで、日本でのスタートは不明だ(9月4日時点)。

 さてこのプラス、ストリーミングサービス界の勢力地図を一気に塗り替えると見られている。アメリカでの現在のトップは契約者6000万人のNetflixで、Huluの2800万人がそれに次ぐ。アマゾンはプライム会員1億人超を抱えるが、プライムビデオの利用者は不明。そこで今回、金融グループがアンケート調査を行ったところ、プラスへ加入する可能性について、43%の人が「かなり高い」「わりと高い」と回答しており、これは換算すると5420万世帯に当たる。中には他サービスから乗り換える世帯もあるだろうから、プラスは一躍トップか準トップの座を占める可能性を秘めているわけだ。

 ディズニーは上記のほかにも、テレビ局のABC、20世紀フォックスのFOXグループもグループ傘下に置く巨大メディア・グループだ。ましてやFOXを買収したことで、FOXが保有していたHulu株を引き継いだ大株主でもある。先行するNetflixの牙城を突き崩すのはそうそう簡単でないとの見方もあるが、とはいえ、巨人がいよいよネットの世界にも本格進出を果たそうとしている。

(猫間滋)

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