「山積み」目撃情報+中国販路の不振…「ヤクルト1000バブル」はハジけたか

 11月14日にヤクルトが四半期決算を発表した。「ヤクルト1000」の爆売れの影響で、さぞや儲かっているのかと思いきや、確かに連結経常利益はプラスだが、前年同期比わずか0.6%増にとどまった。しかも、通期の見通しでは、従来の見通しを売上高、営業利益、経常利益のいずれも下方修正し、経常利益については910億円から805億円と11.5%減に見積もった。

「ヤクルトの2020年以後の業績を見ると、21年3月期は業績を下げましたが、その後は右肩上がり。新型コロナウイルスの拡大は、免疫力向上アイテムとして乳酸菌飲料にとっては追い風で、各社とも売れ行きは好調でした。それに加えて同社の場合、テレビでマツコ・デラックスがヤクルト1000を飲んだら本当に良く寝られたと取り上げたこともあって大ヒット。SNSでは《マジで買えない》《いつ行っても売り切れ》という声が続出するくらい、品薄状態が続いて業績アップに貢献しました」(経済ジャーナリスト)

 ヤクルト1000は、19年10月に関東1都6県で販売開始した当初は、1日20万本程度だった。だが、21年4月に全国展開されると、1日約120万本に。そして評判が評判を呼ぶと、1日約200万本が飛ぶように売れたのだった。勢いに乗ったヤクルトは、今年9月に生産拡大を行う。だが、現在は、1日の販売数220万本後半と横ばい状態が続いている。最近は品薄状態も解消されつつあり、SNSでは店頭で山積みになっているヤクルト1000の目撃報告があがっていたりもする。となると、業績が振るわないのはヤクルト1000の売り上げ鈍化が響いているのか…。

 ところが、同社が業績を下方修正した最大の要因は別にあるという。

「決算報告では、成長鈍化の要因として、中国を中心に販売本数が計画を大きく下回る見込みだとしています。ゼロコロナ後の中国の消費拡大に期待したものの、原発処理水の海洋放水による不買運動や、中国国内の消費減速のダブルパンチの影響を大きく受けると予想しているのです」(前出・ジャーナリスト)

 山積みの目撃情報に中国での販売不振…さすがに「ヤクルト1000バブル」も終焉か!?

(猫間滋)

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