メジャーリーグのワールドシリーズが終了し、MLB公式サイトにフリーエージェントとなる選手名簿が公表された。注目はエンゼルスの大谷翔平だが、「史上最大の総額5億ドル(約750億円)契約」などと、移籍がまるで既定路線のように伝えられてきた。
そんな中、大谷の去就を巡る“新事実”がこのほど判明。シーズン中、エンゼルスと大谷サイドは下交渉を含め、去就に関する折衝を一度も行っていないというのだ。
「公表日から5日間は、今季在籍球団のエンゼルスが独占交渉権を有します。その間に契約をまとめられるかどうかは分かりませんが、いったんエンゼルスはルールに従って、規定額の単年2050万ドル(約30億7500万円)を大谷側に提示するはずです」(現地記者)
ここで言う「規定額」は、球団側に残留交渉を行う意思があることを大谷サイドに伝えるのが目的だ。大谷の今季年俸は3000万ドル(約45億円)。これを大谷側が拒否した後から、エンゼルスと大谷の本格的な残留交渉が始まる。大谷がチームに残る意思がなければ、交渉自体を断ることもできるのだが、そうはならないようだ。
「今年2月、大谷の代理人であるネズ・バレロ氏がエンゼルスのキャンプ地を訪問。その際、ペリー・ミナシアンGMと長く話し込んでいました。その当時、バレロ氏が米メディアに伝えたところによると、シーズン中は残留交渉をしない、ゲームに集中したいというのが大谷の希望だったということです」(米国人ライター)
主力選手が契約最終年のシーズン途中で球団と残留交渉を行い、新契約を結び直すのはよくあること。それはMLBの慣習とも言えるのだが、大谷はそれをシャットアウトした。ではエンゼルスは交渉でどんな条件を用意するのだろうか。
「ポイントは、エンゼルスが大谷に興味を持つ他球団と同様に5億ドルを出せるかどうかとされています」(前出・現地記者)
ただし、大谷の性格をよく知る古巣・日本ハムの関係者は、「大谷の優先順位はお金ではなく、二刀流を貫ける環境」と断言するのだ。
エンゼルスがシーズン中に下交渉さえしなかったのは、在籍6年間の付き合いのなかでこうした「大谷のこだわり」を十分に分かっていたからかもしれない。
もっとも、大谷に「優勝争い」を求められたら、エンゼルスは即答できないかもしれないが……。大谷の決断はどうなるか。
(飯山満/スポーツライター)