ここ数年、駅や商業施設などでよく見かけるようになったストリートピアノ。基本的に演奏時間に上限を設けたり、早朝・深夜の演奏を禁止するなどルールが存在するが、実際には守らない者も少なくない。JR加古川駅(兵庫県)でも昨年11月に設置したばかりだったが、「ルールやマナーを逸した利用」を理由に4月末で運用が休止となり、現在は市によってピアノは撤去されている。
実際、長時間にわたる演奏や禁止している歌いながらの演奏、構内アナウンス放送中の演奏に泥酔客の使用など、市に複数の苦情が寄せられていた。とはいえ、昨年11月の設置からわずか半年での撤去には「残念」との声も多く、地元でも賛否があるようだ。
ちなみに隣の岡山県でもJR岡山駅近くの商業施設「イコットニコット」に設置されていた県内初のストリートピアノが20年末に撤去。大音量での演奏によるトラブルなども多数報告されていたという。さらに東京・品川駅構内の「エキュート品川」の入口にも19年1月12日〜27日の期間限定でピアノが設置されていたが、22日に突如終了。企画したヤマハの公式ツイッターで《「安全管理上の問題」から、やむを得ず本日22日で展示を終了させていただくこととなりました》と説明している。
ブームの裏でこうした撤去も相次いでいたわけだが、なかでも活動に大きな支障が起こりそうなのがピアノ演奏系ユーチューバー。今や人気ピアニストとしてテレビでも活躍中のハラミちゃん(チャンネル登録者数211万人)がブレイクしたのはストリートピアノがきっかけで、現在も各地で演奏した動画を配信。この手の動画はネット上でバズりやすく、他にもよみぃ(同212万人)、けいちゃん(同107万人)などユーチューブがきっかけでメジャーデビューを掴んだ者も多い。
「彼らにとって今でもストリートピアノ演奏動画は大きな収入源で撤去が増えれば死活問題。本人たちはちゃんとマナーを守っていても今後は撮影許可が下りにくくなることも考えられます」(音楽ジャーナリスト)
むしろ、彼らは音楽の楽しさを教えてくれた存在。問題なのはマナーを守らない者たちであって彼らに非はないのだが…。