「YouTubeで大稼ぎ」の時代は本当に終わりか?人気配信者「減収報告」の裏側

 昨年末から有名配信者の減収報告が相次ぐ中、先月31日配信の動画で22年は増収だと発表したのはHIKAKIN(33)。その理由を「広告単価がめっちゃ上がってんだよね」と明かしたが、人気ユーチューバーたちの収益が明暗を分けた理由はここに隠されている。

「収益の柱である広告収入は、有名チャンネルでも単価は異なります。基本的にはオークション形式で企業側が広告枠を買い取り、表示回数と広告単価に応じてユーチューバーに売上が入る仕組み。さらに近年は広告主がコンプライアンスを重視し、出し先を吟味するようになりました。それによりHIKAKINのように好感度が高く、万人受けするような動画に企業側が出稿するという傾向にあります。単にチャンネル登録者数が多いだけで有利なわけではないのです」(広告代理店幹部)

 確かに、HIKAKINの動画は万人受けする内容が多く、リスクも少ない。長年トップユーチューバーの座に君臨しながら炎上トラブルやスキャンダルなどもほぼ皆無だ。

「とはいえ、広告収入を増やすために万人受けを目指す必要はありません。例えば、健康や料理、ビジネス、ファッションといった何かの分野に特化した専門チャンネルでファンを獲得できれば、動画内容に関連した広告が入りやすく、単価も悪くないんです」(前出・広告代理店幹部)

 さらにYouTubeには「スーパーチャット(スパチャ)」と呼ばれるライブ配信の投げ銭機能もあり、22年にスパチャでもっとも稼いだ人気ゲーム実況者の加藤純一が獲得した額は2億4537万円。また、チャンネル登録とは別に「メンバーシップ」と呼ばれる有料会員のシステムもあり、広告収入にこれらの売上を効果的に組み合わせることで増収に成功したユーチューバーも少なくない。

「減収報告と違って増収だとやっかみの対象となるため、そういう配信者は大半が黙っていることも忘れてはなりません。新規参入者が増えて競争がパイの奪い合いになったり、収益構造が複雑化して大変になったのは事実ですが、YouTube自体がだめになったというわけではないのです」(前出・広告代理店幹部)

 裏を返せば、今までが簡単に稼げすぎたのかも。

マネー