新型コロナで風評被害「コロナ」社長の名称変更訴えに称賛

 暖房機器メーカーの「コロナ」(本社=新潟県三条市)が新型コロナウイルスを巡って社員が風評被害に遭っていることを受け、新型コロナの名称変更の動きに合わせ「コロナ」を使用しないよう、厚生労働省に要望書を提出していたという。

「同社では新型コロナウイルスの感染拡大が始まった直後から、社員や社員の家族がからかわれたり、中傷するような声もあったといいます。そのため20年6月には地元紙に全面広告を打ち、『わたしたちは、コロナというなまえに、じぶんたちのしごとに、ほこりをもっています。キミのじまんのかぞくはコロナのじまんのしゃいんです』とメッセージを送っていたんです」(業界関係者)

 今年5月に新型コロナウイルスが感染症法上で「5類」に移行するため、厚労省が法令上の名称についても変更する方針を示したことから、同社の大桃満社長が名称に「COVID-19」を使用するよう要望書で提案。結局、現在の名称が定着していることなどから変更はなかったものの、社長の行動力には称賛の声が相次いでいる。

「ウイルス名と社名がたまたま一致してしまったというだけのことなのですが、コロナの社員やその家族にとっては不運な出来事だったとしか言いようがありません。メキシコの『コロナビール』もパンデミックの直後は風評被害に遭っていましたが、そんな中で、新聞広告を掲載したり、自ら厚労省と掛け合い感染症名の変更を要望したりと、苦しむ社員のために行動を起こした社長の判断は素晴らしいものだったと思います」(メディアジャーナリスト)

 風評被害に負けず、これからも良い商品を作り続けていただきたい。

(小林洋三)

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