新型コロナで「コミケ」初の開催中止、真っ先に倒産が危惧されたのは…

 5月のゴールデンウィークに開催が予定されていた「第98回コミックマーケット」(以下コミケ)が新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、史上初となる開催中止が決定。これに同人誌の製本をする印刷所の倒産を懸念する声が相次いでいる。

「東京ビッグサイトに4日間で70万人以上の来場が予想される世界最大級の同人誌即売会も、予想されていた通り中止となりました。コミケ準備会関係者によれば、東京五輪の開催延期に伴い2020年7月・8月にビッグサイトが利用可能になるかどうかは不明だといい、現時点では延期処置も考えていないとのことです」(ネットライター)

 コミケの開催中止によって大きな打撃を受けるのが、同人誌をメインに製本を請け負っている中小の印刷所で、作家やサークルからの依頼が途絶えれば、そのまま大きな収入減になるという。

「コミケの中止が発表される前から同人誌イベントの延期や中止が相次いでおり、印刷所からは厳しい状況が伝わっていました。同人誌を中心に印刷をする日光企画の社長はツイッターで、『事業規模を縮小せざるを得ない状況』になったとして、倉庫の閉鎖を発表しています。同人誌イベントはいわゆる三密と言われる”密閉空間”となるため、この先もイベントの延期や中止は続くと見られており、倒産せざるを得ないところも出てくるのではないかと見られます」(経済ジャーナリスト)

 ネット上には、《印刷会社は大丈夫かな。作家もネット販売とかに出来ればいいんだろうけど…》《中止は仕方ないけど、印刷所にとっては厳しい判断だろうね。何か救済措置はないものか》《なんとか冬のコミケまで耐え忍んで欲しい》など、印刷所を心配する声が数多く寄せられている。新型コロナの拡大は、日本が世界に誇るサブカルチャーの根底をも揺るがし始めているのだ。

(小林洋三)

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