高市早苗「安倍文書」で墓穴!国会が揺れた「紙爆弾」秘史(2)暴露証言に「出会いバー」で報復

 ジャーナリストの森省歩氏が今回の紙爆弾の背景について説明する。

「今年2月に発売された『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)の中でも財務省との対立については触れているが、当時の安倍内閣では官邸が各省庁の人事権を牛耳り、官邸と霞が関の間で軋轢が生じていた。今回の総務省発の紙爆弾は、昨年の銃撃事件で安倍元総理が急逝したことで、埋もれていた不発弾が爆発してしまった。時の政権には動かされないという矜持を持つ官僚たちは、気に入らない閣僚には徹底抗戦します。最初はサボタージュ、その次が内部告発です。政治家の向う脛を突く醜聞を新聞社や野党などに流し、国会を紛糾させ、退陣に追い込むわけです」

 安倍1強を誇った第2次安倍政権での官邸vs官僚バトルと言えば、14年の加計学園問題での文科省との「総理のご意向」の一件が記憶に鮮明だ。

 安倍総理の〝お友達〟と言われた加計孝太郎氏を優遇し、獣医学部の新設を認可したとされる疑惑を巡って、朝日新聞が「総理のご意向」などと書かれた文科省の文書をすっぱ抜いたのだ。

 政治部デスクが振り返る。

「当時の菅義偉官房長官(74)は『怪文書のようなもの』とその存在を一蹴しました。しかし、前川喜平元文科事務次官が『これは官邸の最高レベルが言っていること』など認可を急ぐように指示する圧力がかかっていたことを緊急会見で暴露した。すると返す刀で、前川氏が歌舞伎町の〝出会いバー〟に通っていたことが読売新聞などに暴露されたのです。一官僚を叩き潰すためにはここまで官邸はやるのかと震撼しました」

 その後、政府は文書の存在を認めている。

「その後、『桜を見る会』が国会で取り沙汰された際に、国会で野党から参加者名簿を資料として提供を求められたその日に、シュレッダー処分されてしまった。もっとも、森友学園での国有地売却問題では、安倍総理自身の『関わっていたら辞任』発言を受けて財務省は決裁文書の改ざんまで行った。その結果、近畿財務局の職員が自死する悲惨な事態まで招いてしまったのです」(政治部デスク)

 時の政権にとって「不都合な真実」の多くはこうして隠滅されていくのが通例なのだ。

 反対に、紙爆弾で自爆したのが「永田メール」騒動だった。

 06年当時、衆議院予算委員会で民主党の永田寿康議員が、ライブドア事件で起訴されていた堀江貴文氏(50)から自民党の武部勤幹事長(81)サイドに多額のカネが渡っていたと、追及した。しかし、そのメールが真っ赤なニセモノだったことが判明する。

「責任を取る形で前原誠司氏(60)は党代表を辞任するなど執行部が総退陣に追い込まれた。苛烈に疑惑を追及した永田議員も辞職。その後、復帰は叶わず2年後、自死に至っています」(政治部デスク)

 紙爆弾はまさに諸刃の剣と言えるだろう。

(つづく)

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