1987年から続く長寿番組「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日)で長らく司会を務めてきたジャーナリストの田原総一朗氏。11月18日深夜の放送回では、「103万円の壁、130万円の壁」の話題についていけずに、視聴者から《この人に司会を任せて大丈夫か?》《主婦パートの常識も知らんのか》《国民生活を語るな》と驚きの声があがっている。
番組中盤、共産党の宮本徹衆院議員が日本の最低賃金について、「実体経済をよくするため、と考えた場合に日本は政府主導での賃上げがあまりにも弱い」と指摘した。
すると、自民党の片山さつき参院議員が、「宮本さん、103万円の壁、130万円の壁」と声を大にして、「扶養に入るか入らないかの壁、非正規の圧倒的多数は女性で、しかも誰かの扶養に入るか入りたい主婦が多いわけですよ」と、配偶者控除に触れて、「最低賃金が上がったところで、働き止めをしちゃってるっていう非常に多くの現実があるところで最低賃金だけに解を求めてもダメですよ」と反論した。
司会の田原氏は「ちょっと待って!働き止めってどういうこと?」と質問。どうやら、配偶者の扶養に入っている主婦の税金控除の仕組みについて、あまり理解していないようで、他のパネリストたちが「103万円、106万円、130万円の壁でみんな扶養から外れたくないんですよ」「扶養所得控除から外されちゃうんで、あまり働くと」「税負担が増えるんです」と説明するも、田原氏はまだ状況が飲み込めていない様子。
「サラリーパーソンが給料上がるの反対してんの?」と田原氏が述べると、片山氏がたまらず「説明してあげてくれる?」とテレビ朝日政治部の藤川みな代氏にリクエスト。
これを受けた藤川氏は「配偶者の扶養控除から外れてしまって、扶養控除38万円を満額もらえなくなると、一時的な逆転現象が起きて、労働時間あたりの賃金が増えてもそれを社会保障と相殺されてしまう」と語り、収入が増えたことで“働き損”になってしまう仕組みを説明した。その後も別のパネリストが「102万円までに賃金を止めておいたほうが、その家庭は得するんです」とかみ砕いて説明するも、田原氏は「月に?月に?」と尋ね、控除の“壁”が年間収入だと知らされると、「そんな少ないのいないよ」とバッサリ。これには他のパネリストからも失笑が漏れ、さらに解説を迫られる事態となった。テレビ誌ライターが言う。
「この日の大きなテーマにあがっていたのが『ド〜する?!国民生活』というもの。与野党の国会議員を集めて、減税や経済政策について議論が行われましたが、司会者がサラリーマン家庭の税金負担の初歩的なルールも知らなかったのは呆れるばかり。およそ3分にわたって、103万円の壁についてイチから説明するのは時間の無駄遣いとしか言いようがありません。視聴者がドン引きするのも納得です」
配偶者控除の仕組みを知らずに、国民生活うんぬんを語るのはさすがに説得力に欠けるかもしれない。