16年目のベテラン、鳥谷敬を心配する声が上がっている。
今季は主に代打としての出場が続いているが、打撃成績は55打数7安打。1割2分7厘の打率もそうだが、ペナントレースの半分以上が消化されたというのに、いまだ、「打点ゼロ、本塁打ゼロ」なのだ(7月4日時点)。鳥谷にとって、こんな屈辱的な数字は初めてだ。
「近く、矢野燿大監督と話し合うことになると思います。代打での出場が続いているので、調子を上げるのが難しい。かといって、チームはAクラスを懸けて戦っており、鳥谷にチャンスを与える余裕もありません」(ベテラン記者)
鳥谷はベンチ前の鉄柵に身を乗り出し、ヒットで出塁した後輩たちにエールを送っている。そんな鳥谷をさらに追い込むように、こんな一報も飛び込んできた。阪神が新外国人選手の獲得に向けて動いているという。
マーリンズ傘下3Aのヤンガービス・ソラーテが最有力とあったが、ソラーテは内野ならどこでも守れるユーティリティー・プレーヤー。しかし、二塁・糸原、三塁・大山、遊撃・木浪の布陣を見れば、獲得後は一塁か、外野となるだろう。
「試合前のチーム練習で、鳥谷と上本が一塁の守備練習に入っています。鳥谷は『ショート一本で勝負する』と決めたはず。一塁の練習を受け入れたのは試合に出るためですが、上本に関しては、『いきなりだと戸惑うから』という矢野監督の指示で、一塁手として二軍戦に出ています」(在阪記者)
今年は、5年の複数年契約の最終年でもある。年俸は4億円とも、5億円とも伝えられている。代打で結果も出していない。高額年俸のベテランだが、チーム功労者である鳥谷が「復活を目指して」と言えば、球団も無下にはできないだろう。1億円キープの契約更新となっても、80%減となるが…。
「チームは勝率5割ラインをウロウロしています。負けられない試合が続くので、鳥谷に与えられるチャンスも少なくなります。矢野監督の口から『二軍調整』の話が出るかもしれません」(前出・ベテラン記者)
ショート一本の宣言はなかったことにされ、大幅減俸も避けられない。新人の遊撃手・木浪は時々、ポカもしでかすが、矢野監督は我慢して使い続けている。育てるつもりなのだろう。
3位争いの真っ最中、Aクラスを確保できたとしても、その代償として、鳥谷はメンツを失うことになる。この代償は、あまりにも大きい。
(スポーツライター・飯山満)