円安ドル高が止まらない。9月22日の円相場でも下落を続け、24年ぶりに1ドル145円台となった。
この日、朝の情報番組「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日)では日米の賃金格差を伝えた。ニューヨークからの生中継で登場したのは元アナウンサーの中丸徹氏。1999年の入社後は「ワールドプロレスリング」を担当し、2005年に社会部に異動し、現在はニューヨーク支局長を務めている。
スタジオではMCの羽鳥慎一アナがアメリカの賃金上昇の実態を紹介。カリフォルニア州のファーストフード従業員の時給が約2150円で、来年には約3150円にまで引き上げることが可能であると伝えた。さらに小売り大手のウォルマートでは、自社のトラック運転手の年収が最大約1570万円。日本の大型トラック運転手は平均年収が454万円と、3分の1以下であることも紹介した。
羽鳥アナが「中丸さん、アメリカの賃金がすごいです」と中継先に話を振ると、中丸氏は「そうですね。アメリカどうなってるかと言いますと、景気はよくて仕事はある。だけど労働者がいないということで完全な売り手市場になってるんですね」とコメント。「極端な例」として、高級レストランの「お皿の上げ下げをする仕事」について「年間1100万円に到達」と報告。さらに犬の散歩の代行の報酬も数倍に跳ね上がっているとして、「週に6回、犬の散歩をしているだけで年間1400万円稼いでいるという状況が生まれていまして」と報告した。
この賃金上昇を受けて経済誌記者が解説するには、
「有価証券報告書によると、テレビ朝日社員の平均年収は1421万円。日本人の平均給与が500万円台であることを考えると、かなりの高給取りといえますが、アメリカでは“犬の散歩”でそれに匹敵する報酬が得られるわけですから、現地駐在スタッフとしては複雑な心境ではないでしょうか」
賃金とともに、上昇しているのが物価だ。番組では中丸氏が「物価なかなか下がらないですね」として、「食料品、外食は高いままで止まっていますね」「ぜいたくしない感じで暮らしています」と語った。中継の最後には、羽鳥アナが「テレビ朝日に言いたいことはありますか?」と尋ねると、中丸氏は揉み手をしながら「引き続きよろしくお願いします」と返し、コメンテーターの玉川徹氏が「いや、ドルで払ってくれって言えばいいじゃない」と提案。中丸氏は、ただただ「はい」と返事をするだけで、玉川氏はその薄いリアクションに「『はい』って…はっはっは」と高笑い。後輩社員の“円安危機”をイジりまくっていた。
日本では高給取りのテレビ朝日社員も、アメリカでは犬の散歩業とそれほど賃金が変わらないとは…。中丸支局長には物価高と円安に負けず、現地レポートを続けてほしい。