つい先日、「ガスト」や「ステーキガスト」など不採算店の100店舗を閉店すると発表したばかりのすかいらーくホールディングス(HD)だが、新たに来月から400店舗の閉店時間を最大で1時間繰り上げることが分かった。夜間利用者が落ち込んでいることが原因だが、もはや「夜のファミレス」という文化はなくなってしまったのか。
「対象となるのは『ガスト』や『バーミヤン』など全国のおよそ400店舗で、夜間の利用客が落ち込んでいる郊外や都心部の店舗を中心に30分~1時間の繰り上げが行われます。同グループでは23時半の閉店を原則としているため、対象店は22時半か23時に閉店時間が早まることになる。ファミレス業界はコロナの影響でレイトディナー(20時~24時)の時間帯の利用客が大きく落ち込んでおり、すかいらーくHDは『利用客のライフスタイルの変化に対応して』今回の対応を決めたといいます」(社会部記者)
深夜のファミレスといえば、かつてはユーミンこと歌手の松任谷由実が歌を作っていたり、脚本家の宮藤官九郎が台本を書いていたり、お笑い芸人がネタを考えていたりする文化的空間でもあった。試験前の大学生が一夜漬けで勉強する姿もよく見られた。
だが今や、そうした用途はなくなってしまったようで、この閉店時間の繰り上げにネット上には《特に地方では21時を過ぎるとファミレスはガラガラで、売上より経費の方がかかっているんじゃないかと思っていたから、今回の決定は妥当だと思う》《コロナの影響もあるんだろうけど、コロナ禍前から夜間の利用者ってそれほど多くはなかったし、もうファミレスに夜間営業はいらない》《無駄な経費はガンガン削るべき。すかいらーくも400店と言わず、全店22時閉店とかでいいじゃないか》などファミレスの夜間営業は不要とする声が多くあがっている。
「もともとファミレスは24時間営業が基本でしたが、需要の減少や従業員の働く環境の改善などを理由に2011年に『サイゼリヤ』が、17年には『ロイヤルホスト』が、20年にはすかいらーくグループが24時間営業を廃止しました。そしてコロナ禍となり、多くの人が無駄な外出を控えるようになったことで、飲食店のレイトディナーの利用客はコロナ禍前に比べ半分近くも減っている状況。それだけに今後は、さらに営業時間を短縮するチェーンも増えてくるのではないでしょうか」(経営コンサルタント)
ファミレスの灯が消え、夜の街はどんどん暗くなっていくのかもしれない。
(小林洋三)